2016.12.4
final day プラスワン~笠 清也・笠 りつ子~
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
THE QUEENS presented by KOWA 三好カントリー倶楽部西コース(愛知県)最終日
疲労の色が濃い。笠りつ子のキャディーをつとめた父・清也さんは、「本当に疲れた」と大きなため息をついた。「16番でやられた。終わってみればね。でも、きょうは、朝からティーショットがちょっと緩んでいた」という。結果は1ダウンの惜敗。それでも、冷静な分析を欠かさなかった。
18番の第2打。笠はグリーン手前の池へ落とす、ミスショットだった。「あそこで、落とすようでは、まだまだ努力が足りない。やっぱり、この先、もうひと皮むけるためには、もっと100ヤード以内のアプローチの精度を上げていかなければ、ダメ。今オフはそういう練習を、これまで以上にたくさんしないと来季につながらない」と手厳しい。これもまた、笠が目指す『1番』になるための金言だろう。
その一方で、「勝ちたかったなぁ」と絞り出すようにいった。清也さんも気合が全身にあふれていた。「散髪に行った。私も気合を入れるためです」と。また、初めて経験したキャプテンについては、「その話を聞いて、まさか-と思った。確か、長と名が付くものを子どもの頃からやったことはなかったはず。スイミングスクールに入れれば、3日でやめるような娘です。人前で話すことも、私を含め、笠家はみんなが口ベタだから」。
とはいえ、大役は笠の隠された一面を引き出した。「本人の気持ちはわからない。だけど、大会中は普段と全く変わりがない。きっちりと気持ちの切り替えをしていたと感じた」。口ベタとはいったが、笠のスピーチ、トークはおもしろい、と評判だ。
気が強い。これはプロゴルファーのなくてはならない資質だ。当初、『律子』と清也さんは命名するつもりだった。しかし、念には念を入れ、知人に姓名判断を依頼している。「律子では、とんでもなく気性が激しい女の子になる、といわれた。そこで優しい子に育つよう、ひらがなで『りつ』として、子の1文字はそのまま。今思うと、あの時、漢字にしていたら、と思うと、ゾッとします」と苦笑しながら打ち明けた。
父娘の魂を込めた、長い1週間。心からご苦労様でした。そう申し上げたい。
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