2017.6.11
クールにパーセーブ 宮里藍のラストパフォーマンス
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)最終日
ファイナルは、5メートルのパーセーブだった。「ラインが読めていたし、気持ちも乗っていたと思う。やっぱり、ボギーとパーでは違います」。18番のプレーを終えると、大歓声がわき起こり、宮里藍の目にも涙が光った。
「朝から、ちょっと感情的になっていました。いつものウォームアップが手につかない。いったい、どうなるのだろう、と思ったけど、1番のティーグラウンドに立つと、自然体に戻りました。こういうふうになるんだなぁ、と不思議な気分」。プロ意識の証明である。「もう、1度、優勝したかった」。ポツリと心残りを語ったものの、毎ショットがギャラリーを魅了したことは間違いなしだ。
引退表明をしてから、「この1週間をどう過ごすか。そればかりを考えた。結果で、みなさんに楽しんでほしい。決して、調子がいいとは胸を張れなかったけど、私はメンタルで勝負してきた。そのスキルをすべて投入した。1人、1人の皆さんへ、感謝の気持ちを込めてプレーすることが、こんなに楽しいとは……。コースに足を運んでくれた、子どもたちに格好いいなぁ、と思ってもらえるようにプレーしました」と明かす。
ギャラリーがコースをぐるりと囲む光景は、宮里ならではのものだ。アマチュア時代から熱視線を浴び、日本ツアー、ラストゲームの可能性がある今大会でも、史上に残る大ギャラリーを動員。人を呼べる選手とは、の質問に、「大変でした」と笑った後、「やりがいがあった。幸せ、喜び、ゴルフが最初の仕事で良かったと心から思います。もっとも、私はゴルフを仕事と思ってはいなかった」と語った。
「まだ、私のシーズンは終わったわけではありません。この後も試合がある。結果で最高の恩返しをしたい。それまでは、もうちょっと、おつきあいください」とファンへ、メッセージを伝えることも忘れない。ちなみに、この日のウェアは、所属するサントリーのカンパニーカラーをイメージしたもの。さりげなく感謝を表す。宮里のひとつひとつは、大人がみても格好良かった。
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