2020.6.18
トップ3とゴールドパター
新型コロナウイルス感染症の影響で、開催中止が相次いでいたJLPGAツアー2020-21シーズンが、「アース・モンダミンカップ」からスタートする。大会には畑岡奈紗(4位)、渋野日向子(12位)、鈴木愛(14位)が出場。日本のトップ3が久々に顔をそろえる。実はこの3選手、共通点があった。使用するパターが同一メーカーなのだ。パット・イズ・マネーはゴルフ不変の法則。ちょっといい話を耳にした。
世界に2本。ゴールドパターをご存じだろうか。ピンのパターを使用し、ワールドランキング対象のトーナメントで優勝を飾ると、記念の逸品が贈られる。ピンの創業者、カーステン・ソルハイム氏が、「何か記念に残るものを」という感謝の気持ちから、契約にかかわらず、試合で使用した同一モデルのゴールドパターを2本製作し、1本は選手へプレゼントされるのだ。そして、もう1本は同社のヴォルトと呼ばれる貯蔵庫へ保管。1960年代から続く素晴らしい慣習だ。現在まで、約3000本が手渡されている。
埼玉にあるピンゴルフジャパンのファクトリーへ、米国から2019年のJLPGAツアーで活躍した鈴木、渋野へプレゼントされるゴールドパターが届いた。フェイスには大会と選手名が刻印されている。メッセージカード、ゴールドのヘッドカバーがセットされ、息を飲むようなすばらしさだ。
「ピンはパターづくりからスタートしたメーカーです。というわけで、使用してくださってありがとう-という気持ちを込めて、記念に残るものをつくりました。日本法人は2004年からです。JLPGAツアーのサポートを始めたのは06年。ここから女子はゴールドパターのプレゼントを行っています。契約選手としての日本人第1号は、11年マスターズGCレディースの大山志保選手」と、ツアーディビジョンマネジャーの浦山康雄さんは話してくれた。
19年、日本のワールドランキングトップ3でいえば、あわせて15本が製作されている。ちなみに、全英女子オープンを制した渋野へは、世界の5大メジャー制覇ということで、ゴールドパターでも特別な1本が贈られるそうだ。通常の金メッキ製とは違い、なんとパターヘッドは純金製。こちらは少々時間がかかっており、まだ到着していない。
19年シーズン、ピンのパターは各試合、「出場選手の約2割が使用してくださった。ゴールドパターは、JLPGAツアーだけではなく、一昨年からワールドランキング対象ツアーになった、ステップ・アップ・ツアーの優勝選手へも贈っています。19年は鈴木、渋野、畑岡の3選手に加え、比嘉真美子選手、S・ランクン選手、ステップではセキユウティン選手に、JLPGA関連では計18本のゴールドパターをつくりました」(浦山マネジャー)。
ソルハイム氏は、ノルウェーで生まれ、米国へ。エンジニアとして1954年、ポータブルテレビセットを製作した。その製品は200万台という空前のベストセラーに。ゴルフと出会ったのは43歳だった。ところが、当時の主流はL字型、T字型の極めてテクニックを必要とされるもの。そこでミスヒットをカバーするため、ヘッドのトゥーとヒールに重量を配分して、スイートエリアを拡大したパターを58年に製作した。その後、趣味が高じてメーカーを立ち上げる。自宅のガレージでつくったパターを試打すると、「ピーン」という良い音が…。打音が社名になったのは有名な話だ。選手にとって、福音を生み出すゴールドパターのコレクションは何本あってもいい。
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