2021.2.28
古江彩佳の挑戦ー全試合出場宣言
<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>
シーズン再来。3月4日、2020-21シーズン第15戦『ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント』が開幕する。すでに現地入りした古江彩佳は、「楽しみです。また、久しぶりにギャラリーの皆さんの前でプレーができる。楽しさ倍増です」と、最終調整がより熱を帯びてきた。
プロ入りは2019年10月。厳密には21年は3年目でも実質、2年目のシーズン。20年、14試合へ出場し、優勝3回、2位3回などトップ10率が50%というJLPGAの顔のひとりになった。当然ながら、スタッツも急上昇。平均ストローク、パーセーブ率、リカバリー率、イーグル数などがトップ10と、オールラウンダーとして大躍進の1年だった。
ただし、アスリートなら避けて通れないこともある。いわゆる2年目のジンクス。いったい、どうとらえているのだろう。「まったく、気にしていません。その時がどうか…。結果をどう受け止めるかが大切だと思います。成績が良かったら、それなりに受け入れたい。反対に悪ければ、もっとレベルアップできると私は考えると思う。だから、いまは特に考えていないです」。あっけらかんとしたものだ。20歳。若さの成せることかもしれない。
新成人として、自身はどう変わったのか。「あまり変わっていません。まだまだ、子どもだなぁと思う。大人になりたいけど、今は難しい」という。具体的に大人とはどんなものなのか。「やはり、振る舞いです。それから、言葉をもっと巧みにつかいたい。インタビューなどでも、気持ちを伝えることが難しいです。言い表すには、言葉をたくさん知っていなければいけません」。これも、日本語の奥深さなのだ。とはいえ、そうしたことをしっかり考える20歳はたくさんいる、とはいえない。要は、「かわいい」とか、「大丈夫」で済ませてはいけないのだ。
時おり、垣間見せる視点、思考の違いに感心することがある。今回の取材でも、そんなことがあった。形式通り、今年の目標を質問。おそらく、優勝と昨年以上の成績かと想定したのだか-。「優勝はできたらいいなぁとは思っているけど、それ以上に1試合、1試合を大事にしたい」と話した。昨シーズンはコロナ禍で試合が開催されることが当たり前の日常が覆されている。それだけに、「1年を通して試合でプレーすることが初めて。今のところ、すべての試合へ出場することを考えている。全試合出場、1度は挑戦したい」と静かに闘志をたぎせた。ちなみに、優勝のチャンスは38回。「すごいですね。いきなり、永久シードだ」と高笑いする様は、やはりどこかが違う。
常に前向きであるように心がける。後向きの発言を控えることも限界をつくらない努力の賜物。「ポジティブに考えるよう、自然に意識している。マイナスのことを考えたくない。そこから運気などが下がってしまいそうなイメージがありますね。だから口にはしません」と、精神の強さを兼ね備えていることも大器の証明かもしれない。災い転じて福となす。
脳裏に浮かんだのは19年6月、優勝争いを展開中の日本女子アマチュア選手権最終日で発生した不幸な出来事。プレー中、カートが接触して3Wが折れるアクシデントがあった。「悔しいし、悲しかった。涙が出たけど、結果は自分の責任です」と気丈に語り、この時もマイナスになるようなことを口にしていない。「あれから、もっとクラブを大切にするようにした。折れた瞬間は見ていないけど、折れたクラブを見て本当に悲しくなった。(不幸なアクシデントがあったから)今があるのかもしれない。ありがとうと思いました」。やさしい心の持ち主だ。
極め付きは、ゴルフについて、「好きというより、人生という感じです。好きという感覚はプレーを始めた頃で終わっているかもしれない。楽しみというよりも仕事に近い。将来の仕事はプロゴルファーというイメージでずっと…。好きという感覚は希薄でした。そうはいっても、試合でプレーすることは心から楽しい」と結んでいる。的確な言葉を吟味しながら話していることがわかった。20歳の誓い、おそるべし。
(メディア管理部・中山 亜子)
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