2021.3.31
鈴木愛 コースと勝負の新哲学
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ヤマハレディースオープン葛城 葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)
身の丈の春を過ごしている。鈴木愛は、決して焦ってはいない。今、来るべきその時を待っているのが正直なところだろう。「12番以降が、特に難しい。とりわけ、13、14番は4日間で8オーバーぐらいを叩いた記憶がある。葛城にはそれほど苦手意識があるわけではないけど、きょうも無理に攻めないことを確認してきました」と慎重だ。
それだけに、今大会のテーマは駆け引き。「今回に限らず、やれるだけのことを行って試合へ臨んでいます。どの試合だって、気合が入る。だけど、勝負って、それだけではうまくはいかない。特に今回のような難しいコースは…。気ばかりを入れても攻略ができるものではありません。前回の成田さんも、無理をしてバーディーばかりを狙うのではなく、2パットで行こう、というちょっとした思考の転換でいい結果へつながったそうです。私は、のぼりでいいラインにつけば、カチーンと打って3パットがある。いい意味で引く。また、ここは押す、といった駆け引きが本当に重要でしょう。とにかく、気合を入れすぎずにいきたい」と、自身をいさめているそうだ。
いつの間にか、若手と呼ばれることがなくなった。JLPGAツアーを代表する1人である。当初、今大会と同週に開催されるANAインスピレーション挑戦の選択肢もあったが、あえて遠征を断念。「やはり、新型コロナウイルスの影響です」と前置きし、「冒険ができるレベルではない。第一、日本で去年、今年と優勝していません。現実を見て決めた。私はまず日本で優勝をしたい。海外遠征はそれから考える」と説明した。
さらに、「毎週トップ10を狙って、それを繰り返していけば、(優勝の)チャンスが来る」と足元を見つめている。弱気になったわけではない。これが、女王の静かな闘志というものだ。
(オフィシャルライター・宮脇 広久)
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