2021.5.7
1W&SW 鈴木愛-2本で一変
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)第2日
2日連続の好スコア。鈴木愛は67をマークして2位タイで決勝ラウンドへ向かう。不調を脱出したことは表情をみれば一目瞭然。この日のプレー内容も、心技体が整ったことが手に取るように伝わってきた。
とりわけ、後半の安定感は素晴らしい。最終18番は残り114ヤードの第3打をPWで2メートルにつけ、気持ちの良いバーディーフィニッシュだった。「同組の(上田)桃子さんがすごくいいスコアでプレーしていたし、(ペ)ソンウさんもいい。お二人に置いていかれないように必死でした。久しぶりの相乗効果です」。ウフフと笑っている。そして、思い出したように、こんなエピソードを漏らした。「最近、私と同組でプレーする方がホールインワン(フジサンケイのペソンウ)や、イーグル(パナソニックのペヒギョン)を決めている。いいなぁ、と心の中で思いながらプレーをしていた」。
勝負の世界には災い転じて福となすことが多々あるものだ。話は2週前のフジサンケイレディスへ遡る。この試合、予定していたキャディーが体調不良でキャンセル。同週に男子の試合が行われたこともあり急きょ、用具契約するピンジャパンのプロ担当・浦山康雄さんと初めてコンビを組んだ。結果は49位タイだったものの、本人は気がついていない微妙な狂いを浦山さんが見て取ったのだ。
「いい時と比較して、1Wのクラブヘッドがほんの少しだけ、外側から入ってくる状態でした。元々、左へのミスがほとんどない選手です。それから、SWのアプローチもいまひとつ。ヘッドが上から入りすぎていた。クラブで助けられたらいい-と調整した新しい1WとSWの2本をお渡ししたしだいです」(浦山さん)。スペックは変わらない。1Wはヘッドの重心位置を変えている。また、SWはヘッドの削りを変更。前週から、使い始めたそうだ。
今大会、急上昇の舞台裏でこんなことがあった。「きょう、1Wのショットはノーミスで行けました。今まで、結果ばかりが気になり、ミスをすると次は絶対にバーディーをとる。残りホールであとバーディーを3つとか、先のことばかりを考えていた。いけませんね。そういうことは。結果はついてくるものです」としみじみと語っている。さらに、「プロになってから、うまくいきすぎたのかもしれない。どんな人生にも波はある。先のことばかりを考えても仕方がない。あしたは、最終日のためにプレーをしたいと思います」と背筋を正した。
コーチをつけず、ひとりで何度も難局をくぐり抜け、頂点を極めている。それでも、去年から続くモヤモヤを払しょくできずにいた。久々に味わうプレーの充実感は値千金。これがプロ冥利だった。
(メディア管理部・中山 亜子)
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