2021.7.31
ドラマチックな5連続 吉田優利がツアー初V
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGA ツアー2020-21シーズン第36戦『楽天スーパーレディース』(賞金総額8,000万円・優勝賞金1,440万円)大会最終日が7月31日、兵庫県加東市・東急グランドオークゴルフクラブ(6,568ヤード/パー72)で行われ、プロ2年目の吉田優利が通算18アンダーでツアー初優勝。8バーディー、2ボギーと超攻撃的なプレーを展開し、混戦からグイッと抜け出した。3打差の通算15アンダー、2位タイは高橋彩華、比嘉真美子。次週、東京オリンピックへ日本代表として出場の稲見萌寧がこの日、66をマークし通算12アンダー、9位タイへジャンプアップした。渋野日向子は通算7アンダー、29位タイ。
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《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:23mm》
初Vのインパクトはとてつもなく大きい。プロ2年目の吉田優利が、念願のJLPGAツアー初優勝を飾った。
最終日、全国のゴルフファンが驚いたのは後半の5連続バーディーだった。「(5連続は)人生初体験。ずっと集中していたけど、12番からより集中できていたと思います。時々、心拍数があがっていることがわかったけど、パッティングで構えると冷静になった。パッティング練習をたくさん積んできたから、きっと自然体でストロークできたことが要因でしょう」と分析する。
パー3の12番、8Iから鋭いショットがピン手前2メートルへ。落ち着いてバーディーを決め、首位に立っていた濱田茉優に並ぶ。続くパー5の13番は、ピン左奥5メートルが決まる。単独首位へ立った。
そして、14番=3メートル、15番=3メートル、16番で1メートル。バーディーラッシュで独走態勢を構築した。一方で、こんな舞台裏を明かす。「きょうは、きょうです。いいプレーをすることだけを思い描いた。おかげで気持ちが良いスタートを切れたと思います。1日を振り返ると、キーホールはボギーを叩いた2番かもしれない。私の場合、18ホールの勝負は、バーディーやボギーといったスコアに変動があった時、スイッチが入るきっかけになるから」と話した。
また、最終18番でボギーだったことに悔しさをにじませる。「もちろん、バーディーを狙った。ウイニングパットを打つ前、ようやく他の選手の優勝をテレビでずっと見てきただけに、ようやく私-と思ったけど、やっぱりボギーは悔しいです。だから、ウイニングパットを決め、自然に涙が出るようになるぐらいもっと練習をしようと誓いました」。満面の笑顔を浮かべていても、次を見据えるところが頼もしい。
ジャイアントステップの課題は、何度も言葉にしているパーオン率の向上。「すごい数字ですけど、80%を目指している。それが達成できると、平均スコア71.0以下に…。得意のパッティングがもっと生かせるはずです」と説明した。理路整然と言葉にする。前日、中学、高校時代に自身をプレゼンテーションする特別授業のエピソードを語ったが、待望の優勝会見で成果が発揮された。この日、同時に伝わってきたのはアナリストとしての資質。
「試合をしながら進化を続けたい。今年、最初の試合では予選落ち。そこから、考えることが増えた。当然です。プロになって、ゴルフが仕事だから。練習などで効率を重視するスタイルは変わらない。人と話しながら、3時間の練習をするよりも、私は真剣に1時間を選びます。効率×練習量。少し前まで足し算で考えたけど、掛け算に変えたら成績があがりました」と、独自の哲学をしっかり言葉にしている。
さらには、「まだ、プロ2年目ですから、初優勝がはやかったと思いますけど、ふさわしいタイミングとも感じます」。今大会は、自身にとってすべてが初物尽くしといえよう。第1日、自己ベストスコアを更新。第2日はプロ初のイーグルを奪った。そして、最終日が5連続バーディーと、ドラマチックに初Vを演出してみせた。
表彰式ではJ1神戸のイニエスタから、「おめでとう」と祝福され大興奮。ファンタジスタ・吉田にふさわしいサプライズが待っていた。
(メディア管理部・鈴木 孝之)
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