2021.11.28
新女王・稲見萌寧 無休で培ったタイトル、メダル
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 宮崎カントリークラブ(宮崎県)最終日
メルセデスMVP同様、賞金女王争いもシ烈。稲見萌寧は優勝争いとは違う感覚を味わった。「最低限の仕事はできた。後半、耐えました。さらに最後の3ホール、特に頑張った。何とか、(タイトルを)とりました」と、安どの表情を浮かべる。
底力を披露したのは17番。残り57ヤードの第2打を58度で、ピン手前1.5メートルへ運ぶ。バーディーで通算イーブンパーとし、トップ10圏内に。「単独14位以下になると、(賞金女王が)ひっくりかえる可能性があったことを知っていた。耐える、耐える-です。18番もパーをとらなければいけない。必死でした」とも明かしている。
決して、弱音を吐かない。プレーの技術は当然だが、それを上回る精神力が最強を支える。今シーズン、最も公式会見が多かった選手。
「人前でお話することは苦にならない。ステージの上でもちゃんとお話できます。しかし、会見で質問をうけるたびに、知りたくなかったことを知ってしまった。東京オリンピック、賞金女王のことなど…。すごいプレッシャーでした。でも、それに打ち勝って、パワーアップできたと思います」と、本音を吐露した。
続いて、「最初はイヤでしたけど、途中からプレッシャーをどんどん(メディアの)皆さんからかけてもらおう。そういう感じになった。すごく、いい経験です。乗り越えて、賞金女王になることができて、本当に良かった」と深々と一礼を。JLPGAツアー新時代の女王のトークがさえわたった。
そして、シーズンで最も活躍したクラブは、「今年はパター。これが大きい。(勝負どころで)耐えることができた。ロングパットが決まった。チャンスをモノにできた。ピンチを救ってくれました」。やはり、パット・イズ・マネーは不変の法則である。
一方で、惜しかったのはやはり年間平均ストローク。「最終戦は難コース。70を切ることは難しいと思っていた。でも、51試合を終わって69台。これは満足でした」と解説した。
最終プロテスト合格からショットメーカーとして、強いこだわりが。とはいえ、自身が究極の目標とする永久シード権を獲得するためには、オールラウンダーになることが必定。不動裕理にあこがれ、「最強になる」と誓い、ジュニア時代から「周囲は、みんな賞金女王が夢-と口をそろえていたけど、私は永久シードでした。今も変わりません。もっとも今年、日本女子プロ選手権を勝ったあたりから、賞金女王へ対しての意識が出た」という。
そして、今年を一文字の漢字で表す質問へ、『完』を充てている。「オリンピックでメダル獲得。年間の複数回優勝。賞金女王。公式戦制覇の4つを達成できました。私の100点です」が理由だ。他にも、完には、欠けたところがない。やり遂げる-の意味がある。さっと、選んだ。さすがである。
「オリンピックのメダルの力、本当にすごいと思う。ゴルフを知らなかった方でも、たくさんの応援をいただくようになりました。もっとうれしいのは、ジュニアのファンが増えました。オフも、トレーニングと練習です。勝っても負けても練習。ひたすらやり続ける。これは、どんな時にでも役に立つ」。名言続出の公式会見の締めくくりは、これまでも、これからも-変わることがない無休の誓いだった。
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