2022.6.5
Day 3 ~ プラスワン 三位一体
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
リシャール・ミル ヨネックスレディスゴルフトーナメント2022 ヨネックスカントリークラブ(新潟県)最終日
3年ぶりの有観客開催。開幕から、この日を待ちかねていたように多くのギャラリーが足を運んだ。全38戦で構成するJLPGAツアーでも、異質のトーナメントかもしれない。
開催地の新潟・長岡市が共催。ツアーで唯一の特性だ。地元とともに大会を盛り上げる。2016年から市民参加型へ。最終日、全組がスタートの後、長岡市ジュニア体験ラウンドが開催された。スタートアナウンスから、帯同キャディー、ピンポジションなど選手と同様。計12名の参加者は、一生忘れない夢のような出来事だったことだろう。
長岡市市民協働推進部スポーツ振興課・中山玄課長は、「スポーツによる街づくりを長年行っている。地元で大きな大会が開催されることは、ジュニアに限らず年配の解説にも身近でプロスポーツを感じる有意義なイベント。今年も体験の他に30組の親子をご招待しました。去年は無観客でしたし、たくさんのご応募をいただき、抽選を。女子プロゴルフに対する関心が高いことがわかります」と言葉が弾む。
一方、主催のヨネックス。99年から地域密着を目指した。「私どもの創業者で現在の長岡市生まれの米山稔が、地元に恩返しをしたい。それなら、皆さんへトーナメントを見ていただこう、となった。そして、トーナメント開催のため、コースをつくり、現在に至っています」(大会実行委員長・山本美雄さん)。
<写真:大会提供>
地域の活性化も同様のテーマだ。「ボランティアの皆さん、地元企業、ギャラリープラザなどの物販など、他の試合とはちょっと違う。また、県内の皆さんへゴルフの振興にも一役買っている」(同)と話した。前日のホールアウト後、コロナ禍以降はじめて選手がジュニアへ指導するレッスン会も開催し、大盛況である。
さらに、今大会から特別協賛を行うリシャールミルジャパン株式会社はトーナメントでの新たなサポートスタイルを展開。スリリングな優勝争いに加え、リシャールミルホールと別名があるパー4の15番で、3日間通算のベストスコア賞を新設した。2位の岩井千怜が11番から勢いに乗って、15番でも劇的な5連続バーディー奪取。賞金500万円を獲得している。
「ホールインワン、イーグルは必ず出るとは限らない。それなら、難度が高いホールで3日間の成績をすべて加味したベストスコア賞。既存のトーナメントで行ったことはない。面白いと思いました。みんなのアイデアです」と、リシャールミルジャパン・川崎圭太CEOは語った。
さらに、その前のホール、パー3の14番。チャリティーとして、各選手がワンオンにつき1万円(総額153万円)をJLPGAプレイヤーズ委員会へ寄付をした。同社のアンバサダー・青木瀬令奈はJLPGAブライトナーでもある。そんな縁から、「チャリティーを行うなら、ぜひ協力したい。出場選手が全員、ゲームで(チャリティーのための)軍資金を稼ぐのはどうかなぁ」(同)との提案で実現。
11年、同社は東日本大震災復興支援としてチャリティー活動をはじめ、18年からは、さらに力を注ぐために基金を設立。「企業として心の豊かさも兼ね備えていく」ことを使命にしている。通常、優勝者へ企業が自慢の逸品を提供するのだが、「ご存じのように弊社の時計は最高級のものです。数をつくることができない。お客さまは3年、4年待ちの状況ですから、この大会だけは特別に-とはいかないでしょう」(同)という。
コースを歩いていると、多くのギャラリーが、「うちの大会」と話している。大会のリピーターは90%が県内から来場。三位一体のトーナメントは大盛況だった。
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