2022.9.13
ツアー強化10年《育成と強化》
<Photo:Ken Ishii/Getty Images>
待ちに待った週末がやってくる。岡山県のゴルフファンにとって『山陽新聞レディースカップ』は、コロナ禍で3年ぶりの有観客開催。大会のスローガン「瀬戸内から世界へ」とともに、「岡山の元気を全国へ伝えたい」と関係者も心待ちにしている。
JLPGAが2013年からスタートさせたツアー強化。ステップ・アップ・ツアーでもさまざまな変革が毎年、行われてきた。強化策は大会を支えるスポンサーなど、たくさんの関係者の理解、協力があって実現できている。それまでほとんどなかった大会のテレビ放送を12年から、すべての大会で毎日6時間ほどの生放送を開始した。そして、20年間続いた2日間競技から、大半を3日間競技に変更。ほとんどの大会が無観客から、ギャラリー入場にしていただいた。
『山陽新聞レディースカップ』は、JLPGAツアーに匹敵するほどのギャラリー入場者数を誇る。また、近年、岡山県出身選手の活躍がひと際クローズアップされているのは、ジュニアに本大会へ出場機会を与える熱心な育成の賜物だろう。
「今回、渋野日向子さんの妹さん、暉璃子さん(明大)が将来、プロ志望ということで推薦出場が決定。国内のJLPGAトーナメント、デビュー戦です。楽しみがさらに増えた」と、笑顔で話しているのは大会事務局長・渡辺恭史さん。姉も中学1年で初出場を果たし、高校、プロと各年の大会で進化をアピールした。
「アマチュア出場のための枠を、第1回から設けている。ただ、資格を得ることは難しい。毎年、夏休みに開催する岡山県ジュニア選手権で女子の中学、高校と各カテゴリーで、トップの成績をおさめた選手。また、大学生と一般は岡山県レディース優勝者を対象に3枠を設けています」(同)
ジュニアにとって、プロのトーナメントでプレーすることは、精進のスピードを加速させる。しかも、ギャラリーの目前でプレーすることは、プロだからこそ求められる、緊張の中での素晴らしいプレーやそれに伴うファンからの大きな拍手、というプライスレスの体験をジュニアが肌身で感じることができるのは大きい。
大会のスローガン「瀬戸内から世界へ」をまさに実現した19年、全英女子オープンを制した渋野日向子をジュニアからサポートしたRSK山陽放送・ラジオ営業推進部主査の重松宏さんは、「岡山はゴルフに親しむ環境が素晴らしい。一番はコースへのアクセスの良さです。車で15分程度走れば、プレーができるゴルフ場がある。サポートする、ご両親も送迎がしやすい。渋野さんも自宅近くに河川敷コースがあった。さらに、ジュニア割で優遇されることも競技人口増加の大きな理由でしょう」と説明した。
毎年、コンスタントに岡山から最終プロテスト合格者が輩出されるのは、このような土地柄も無関係ではない。しかも、ゴルフトーナメント地域活性委員会を構成。山陽新聞社が中心となって枠を超えた地元企業の協力が、地元の方々などにゴルフへ関心や興味を誘い、山陽新聞レディースカップを一大イベントへ成長させた。
<Photo:Ken Ishii/Getty Images>
今年13回目を迎える大会で、興味深いのはベストアマに輝いた選手がその後、大きく飛翔したことだ。例をあげれば河本結、森田遥、吉田優利などがいる。河本は瀬戸内海をはさんだ対岸、四国の愛媛県出身。18年7月の最終プロテスト合格を果たした。
特筆すべきは河本が、ツアー強化に結果で応えた選手のひとりになったことだ。18年、ステップは3日間競技が19大会へ増加。今大会をはじめ、ステップ4勝をあげ、シーズン賞金ランキング1位に輝き、翌年のJLPGAツアー・第1回リランキングまでの出場権を付与された。制度を変更したのは17年(※19年から賞金ランキング1、2位へ拡大)。
ステップで3日間競技。ギャラリーがいる中でのプレーを経験する。さらに、CSテレビ生放映があり、JLPGAツアーの環境に近い形で1年を過ごし、文字通りステップアップを果たす。チャンスを存分に生かし19年春、3日間競技のアクサレディスでJLPGAツアー初優勝を果たした。それだけに、ルーキー時をなつかしむように、「ステップ1位で来年の出場権獲得-という目標が大きかった。もし、それがなかったら、頑張ることができなかったかもしれない。協会のツアー強化策に感謝を忘れず、ステップで自信をつけられたことは、大きな財産です」と振り返った。
続けて、「最初からJLPGAツアーへ挑戦することが理想です。でも、ステップでは優勝を含め、多くの学びがあったと思う。先輩プロへのあいさつからはじまり、各試合への移動や宿泊手配などは、もちろんひとりで行った。試合もセルフプレーです。自分のプレーを組み立て、準備を怠らない気構えなど、基礎的なことをたくさん…」とひと息ついてから、「ジュニアとの一番の違いは、やはりギャラリーの皆さんの前でプレーすることかなぁ。緊張感、高揚感と楽しさがミックスされている。おかげさまで、ステップで自信をつけることができました」と、背筋を伸ばしながらの対応である。
ステップでの強化と育成が一本の線となって、JLPGAツアーへつながり、さらなるツアー強化策を構築。世界への扉が開いた。
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