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2022.11.5

10億円も見えた 上田桃子の新境地

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 日米両ツアーの選手が出場するUSLPGA公式戦『TOTOジャパンクラシック』(賞金総額200万ドル、優勝賞金30万ドル)大会第3日が11月5日、滋賀県大津市・瀬田ゴルフコース北コース(6616ヤード/パー72)で行われた。上田桃子が通算14アンダーへスコア伸ばし、首位をキープ。1打差の2位へ通算13アンダーのジェマ・ドライバーグが浮上した。3位は通算12アンダーの山下美夢有。
(天候:晴れ 気温:16.4℃ 風速:1.5m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/4フィート コンパクション:24mm》

 上田桃子が2戦連続予選落ちの悪夢を振り払うように、第1日から首位をキープしている。07年以来の完全優勝へ向け、ひとランク上のスタイル構築を目指し奮闘中だ。

 「きのう同様、調子がよくなかった。特に前半はショートパットを外したミス。クラブを気持ちよく振り切ることができない。もどかしかった。しかし、それも、これも私。何ができるか-とキャディーさんと話していたけど、開き直ることしかないが結論だった」という。7バーディー、3ボギーの68をマークしたが、結果オーライで終わらせない。このあたり、さすがといわざるをえない。キャリアを重ねながら、常にさらなる高みを目指している。

 この日の中盤、こんなことがあった。「パー3の12番でスコアボードを見ると、きょうは海外の選手が上位をにぎわせている。そうだよなぁ」と納得。そして、「日本の選手としてがんばる。でも、欲を出し過ぎないことを肝に銘じて、そっとギアを入れた」そうだ。

 6Iの第1打はピン右上、2.5メートルへ。バーディーを決め、浮上のきっかけをつかんだ。続くパー5の13番も第3打をピン手前2.5メートルへ運んだ。これも楽々とカップインさせ、連続バーディーを決めた。そして、さらなる勝負強さを披露したのは終盤。上がり3ホールで2バーディーを奪取した。最終18番、3.5メートルのバーディーフィニッシュで単独首位を死守する。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 「2週連続の予選落ちは、さすがに落ち込みます。ただ、桜井章一さんの本をコンビニエンスストアでみつけ、モチベーションがアップした。最終的に、自分を磨き、らしさを出し切る。たとえきれいでなくても強みを最大限に出せるか。格好をつけず、しっかりやろう-そういった心境になった」

 「私は、あんまり(ゴルフが)うまくはない。気持ちで戦ってきた代表のようなものです。いいところはありません。だけど、なくても戦えるところかなぁ。イメージをつくって、精神力で何とかやっている。根拠のない自信というか…。自分を肯定することが苦手ですからね」

 勝負の世界で生きてきた、自己啓発作家の著書は新たな一歩を記す原動力に変わった。これからは、「柔らかさ、しなやかさのある武器を磨く」とも。

 JLPGAツアー出場389試合目で培った結論である。ちなみに、生涯獲得賞金はあと約1000万円で、10億円へ手が届く。また今大会、複数回Vを飾っている日本人選手はただひとり。

 ゴルフは引き算の美学を競う競技でもある。ライバルより、1打少なければいい。そのために、精進を重ねた。最終日、あわせて勝負の美学も存分にみせてほしい。

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