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2022.11.6

一気に開花 ドライバーグが4差圧勝のツアー初V

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 日米両ツアーの選手が出場するUSLPGA公式戦『TOTOジャパンクラシック』(賞金総額200万ドル、優勝賞金30万ドル)大会最終日が11月6日、滋賀県大津市・瀬田ゴルフコース北コース(6616ヤード/パー72)で行われ、2位スタートのジェマ・ドライバーグ(スコットランド)が逆転優勝。通算20アンダーでUSLPGAツアー初優勝を飾った。4打差の2位は通算16アンダーの永井花奈。通算15アンダーのリン・グランド(スウェーデン)が3位、通算13アンダーの西村優菜が4位へ入った。首位スタートの上田桃子は通算12アンダー、山下美夢有、古江彩佳とともに5位。渋野日向子は通算1オーバー、64位タイだった。
(天候:晴れ 気温:16.2℃ 風速:2.2m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:24mm》

 ツアー初優勝の態勢は整っていた。ジェマ・ドライバーグがVのサインを間近に感じたのは後半の11番。残り198ヤードの第2打を、ピン1.2メートルへつけるバーディーチャンスが到来した。

 「ハーフターンの時、いけそうな気がした。でも、スライスラインが決まってから、かなり意識をするように…。ポイントはこのホールだったと思います」と、うれしそうに振り返る。

 さらに、勢いが増す。13番から5メートル前後のミドルパットを3連続で決めた。まるで、パッティングの魔法を披露するように-。「開幕前日、パッティングを約2時間、練習した。ただ、第1日にその成果が出ない。すごくがっかりした。でも、トーナメントはまだ3日間、残っている。一度、そのことは脳裏から追い出して第2日から新たにスタート、と切り替えたことが良かったのでしょう」。それでも、急激な変化はなし。第1日=31パット→第2日=30パットである。

 しかし、そのホールアウト後の練習で「方向性が悪いことに気がつき、狙いどころをしっかり意識することで、まったく感触が違った」という。残り36ホールで上昇へ転じた。ショットとパッティングが一体となって、バーディーラッシュである。第3日、最終日にそれぞれ65のベストスコアをマーク。2日間で14アンダーを上積みした。ボギーがひとつという、自身のストロングポイントのステディーなスタイルが完成。

 この日、最終ホールを前に2位へ3打差をつけた。ただし、満足することはなく、さらに集中力を高め、バーディーフィニッシュ。これがツアー2勝目への意欲の表れと見て取れた。ソツなし。スキなし。結局、4打差をつける完勝だ。

 15歳からツアーで戦うことを夢見て、努力を続けた。10歳で故郷のスコットランドを離れている。ゴルフをしながら学べる米国ルイジアナ州のテュレーン大学へ進学。15年にプロへ転向し、18年から米ツアーへ参戦した。とはいえ、ロレックス世界ランキングは199位と、世界的にみれば、知名度は低い。ほぼ、無名の選手だった。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 それでも、「今年は飛躍のシーズンだと思った。飛距離、精度、パッティング技術など、すべてのレベルアップがわかったから。きょうの優勝は一生忘れられないでしょう。私はこの時を待ち続けた。しかも、大好きな日本だから喜びが何倍にもふくらんでいる」と話した。

 続けて、「素晴らしいコースコンディションを提供してくださったみなさんへ感謝します。それから、ギャラリーの皆さんもすべての選手へ分け隔てなく、応援をしてしださった。もうひとつ、同組でプレーした日本の選手のマナーの良さにも。おかげで、素晴らしいプレーを披露できた」とたくさんの感謝を伝え、「来年はディフェンディングチャンピオンで戻ってきます」とも。

 ジェマという名前は、ジェムストーンに由来する。天然石全般をさす原石のことをいう長い年月をかけて結晶化したものだ。人の手が入っていないことで、より美しさを増す。

 「体形に恵まれているわけではない。だから、ヘッドが重いパターが合う。きょうのパターは19年3月から、使い続けているものです」。パット・イズ・マネーを信じてうたがうこともなかった。

 輝きを増し再び、米国へ。29歳、15歳でプロの志を立て、30歳で基礎が固まり自立するという、論語の言葉を地で行くようなゴルファーは、日本のファンの記憶に刻まれた。

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