2015.3.22
6ホールの死闘を制した飯島茜 5年ぶりツアー優勝
2015年度LPGAツアー第3戦『Tポイントレディス ゴルフトーナメント』(賞金総額7,000万円、優勝賞金1,260万円)の最終日が22日、佐賀県武雄市の若木ゴルフ倶楽部(6,304ヤード/パー72)で行われた。
勝負は通算3アンダーで並んだ、飯島茜と全美貞(韓国)のプレーオフへ。1時間47分にわたるプレーオフの末、6ホール目で飯島がバーディーを奪い、5年ぶりの優勝を飾った。あわせて、史上40人目の生涯獲得賞金4億円突破を達成。通算2アンダーの3位は上田桃子、一ノ瀬優希、藤本麻子が入った。(天候:曇り、気温:16.5℃、風速:4.6メートル)
プレーオフ6ホール目、勝利の音がだんだん大きくなってくる。1.2メートルのバーディーパットがカップヘ吸い込まれた瞬間、生涯の思い出となるようないい音が飯島茜の耳へ届いた。
「負けたくない。そればかりを考えてプレーオフを戦っていました。だって、予約していた飛行機へも乗れないから…」。1時間47分の死闘の最中でも、そんなことを考えていたという。ただ、周囲から見ていると、笑顔を絶やさず楽しそうにプレーする姿が印象に残った。
「ショットの音がとてもいい。だから、ゴルフが楽しかった。苦しんでいた時は、インパクトでカサッという音がしたけど、今はピシッ、です」。
そうはいっても、最終ラウンドは山あり谷ありだった。13番ではティーショットが右へ。アンラッキーなOBとなり、一時はイーブンまでスコアを落とした。それでも、「14番のロングは絶対にバーディーを獲る」と気合を入れて、実際にバーディーを奪う。「それからです。流れが良くなったのは」。16、18番でもバーディーを奪取。全に並んだ。
「今回、勝てなかったとしても次がある。不思議とそんな余裕がありました」と振り返った飯島には前日、指導を受ける片山晋呉から電話が入った。『自分からは攻めていくな。とにかく、グリーンの真ん中を狙うことを徹底するように』。
スイングで悩み、3年半前に自ら「教えてください」と、ワラにもすがる思いでアプローチした。「いつ、引退が現実になるのか、ツアーで若い選手の勢いがすごい。このままでは自分の居場所がなくなると思った。私は身長が157センチ、体格に恵まれているとはいえない。でも、勝負だから飛距離もなければ戦えません」。引退まで賭けた覚悟は、少しも揺らぐことがない。「一度もほめられたことがない」という片山の厳しい指導。ところが、今年2月の宮崎合宿で「すべてがつながった」とお墨付きをもらう。
1月中旬から約一ヶ月に及んだタイ合宿。ここで飯島は復活の音が聞こえたそうだ。「いろいろ考えて試行錯誤しながら、ボールをひたすら打っていた。そうしたら突然、インパクトの音がものすごく良くなった。隣で練習していた、笠(りつ子)さんも、それに気が付いて、いい音がしますね、といってくれました。片山さんからも、音が良くなったと…」と笑みを浮かべた。
今季の目標は控えめに「1勝」だったが、3戦目でそれをクリア。この日の内容なら、上方修正しなければならない。今大会で、生涯獲得賞金が4億円を突破した。「プロゴルファーは引退がないスポーツだけど、稼げなければ意味がない。これからは、もっと勝ちたいという気持ちを強く持ち、とりあえず35歳まではバリバリ頑張ります」。会見での弾んだ声は、聞き手にとっても心地よく耳に届いた。
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