2023.1.30
春を待つ94期生~天本 ハルカ
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。
あまもと・はるか=1998年7月23日、福岡県出身
2月を迎える。九州で本格的なラウンド合宿を行う前、トレーニングの最終段階へ入った。走る。走った。走り抜く。1月はスポーツの基本を徹底。そして、2週前に参加した合同合宿で得たものを実践中である。
「同じトレーナーさんに指導を受けている-ご縁でプロ野球選手の方、ソフトボール選手方など、異分野のアスリートの皆さんと一緒のトレーニングへ参加させていただきました。ゴルファーは私ひとり。競技は違っても、筋肉などの体の使い方、考え方など、たくさんのことがためになりました」と話す。
合宿参加で、一生の財産となるような出来事もあったという。ソフトボールで多くの金字塔を打ち立てた、ビックカメラ高崎・上野由岐子投手と知り合えたことだろう。
「同じ宿舎、同じご飯を食べ、お風呂でもご一緒。たくさん、お話をうかがい、私の質問に丁寧にお答えくださった。本当にありがたい。貴重な経験談、独自の思考などたくさん-です。今、その事柄を整理しながら、どうやって生かすかを考えています」。この時も、少し興奮した様子が見て取れる。もちろん、ヤル気倍増、いや3倍増ぐらいまで跳ね上がった。
では、どんなことを聞いたか。「秘密にしておきたい」と、にっこりしながら、「スポーツの世界では、一流とその手前で終わる選手の基準があるそうです。若い時は勢いさえあれば、ある程度まで行ける。ただ、それだけでは活躍を続けることは難しい」と区切り、「たとえば私は今年、25歳を迎えるけど、25歳でなければできないことがある。年々、体の変化が起きるわけだし一年毎の積み重ねが将来、大きくものをいう。今、やるべきことを把握しながら、たとえ失敗してもやってみる。後悔はしたくはありません」。キリリと表情が引き締まった。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
22年、ルーキーシーズンの経験を踏まえながら、勝負の2年目へ向かう。「上野さんの力配分、パターンづくりを参考にして、調子が悪い時をどう乗り切るか-を考えています。去年、私は試合中にダメだなぁ、と感じるとその気持ちが、スコアへ直結した。頑張ったけど、耐えられない。うまくいかなかったのは結局、いろいろなことを求めすぎてしまうのでしょう。でも、8割の力しか出せない日は、シンプルに考えて8割でベストの勝負をすればいい。萎縮してしまうと、8割の力も出せずに終わってしまうものです」。達観したかのように説明した。
さらに、「トップ選手と何が違うかといえば、精度。プレーの細かさというのかなぁ。しかし、行っていることはそれほど変わらない。私は去年、100ヤード以内の精度を磨くことが目標のひとつでした。ところが、100ヤードをきっちりと残すことはできても、思うようにバーディーがとれなかった」と、ため息をひとつ。その上で、「山下(美夢有)さんは、その100ヤード以内、ぶれません。残り何ヤードでも同じです。また、菅沼さんのショートゲームの精度もすごかった。これは見習うべき-と痛感しましたね」と続けている。
一方、今オフは1Wの飛距離アップへ着手した。「キャリーで235ヤードが目標です。だいぶ近づいてきました」と、手応えは十分だ。QTランキングは32位。前年も同31位からリランキングを勝ち抜き、フルシーズンを戦っている。序盤から中盤まで、メルセデス・ポイント争いではシード圏内をキープした。ところが秋口から失速。「後半戦がきつかった」と、ため息まじりに漏らした。
「元々、パッティングが得意だったけど、後半はいいところを出せずに終わった。悩んでしまって、自信がなくなって…。迷いなくアドレスへ入り、しっかりストロークをしなければ、気持ちまでボールへ宿らない。オフは、最後の最後までいい感覚で終われるように練習する。勝つためですよ。そうはいったって、練習でできても、試合で再現できなければダメでしょう。あと、1カ月、いろいろな場面を想定しながら行って、開幕へ臨みます」と、誓いを立てている。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
プロテスト受験回数は5回。20年は台湾ツアーへ活路を求めた経験が異彩を放つ。QTを突破し、フル参戦の権利を得たものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があり、わずか1試合だけで帰国。華やかな黄金世代の一員とはいえ、苦悩することも多かった。
本名は遥香だが、「皆さんに名前を憶えていただきたい」と、登録名をカタカナにした。22年、CAT Ladies 第1日。はじめて首位に立った。こんなシーンが今年、何度みられるだろうか。
同郷のレジェンドの薫陶を受け、新たな指標ができた。あとは心技体を実戦で、実践するだけだ。
(青木 政司)
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