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2023.2.7

春を待つ94期生~永嶋 花音

<Photo:Shintaro Wada/Getty Images>

 コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。

 ながしま・はなね=2001年10月12日、東京都足立区出身

 2月1日からスタートした宮崎合宿は、1週間が過ぎた。体力と飛距離アップが最大のテーマ。順調にきている。表情をみてすぐにわかった。「佐々木紀幸コーチと、何度も何度も、どうしたら飛距離が伸びるか。全身の筋肉の使い方、トレーニング法など毎日、話し合って試行錯誤を続けている。3月まで、しっかりやりたい。今年最初の試合で280ヤード飛んだら、すみませんとあやまります」。ジョークまで飛び出した。ルーキーシーズンと大きく変わったことは、こんな何気ないこと。

 22年はQTランキング5位とチャンスをつかんだ。ところが、23試合へ出場したものの、予選落ちが16回。実力を発揮するまでには至らず、JLPGAツアーの厳しさを思い知らされた。

 「打ちのめされた。もう、全身に重りをぶらさげているように、気持ちがふさぎがち…」。少し目を閉じ、去年の姿を思い浮かべた。続いて、「最終プロテストで合格→QTの成績も良かった。ポンポンと、いきなり前半戦すべての出場権まで手にいれたんです。ただ、開幕戦まで怠けていたわけではないけど、どんな準備をしたらいいのかまったくわからない。そんな状況でツアーを転戦したのですから、うまくいくわけなどありません。もう、反省ばかり。だから、今年は課題をひとつずつ克服するため、丁寧に毎日を過ごしている」そうだ。

<Photo:Shintaro Wada/Getty Images>

 シーズンを終えると、反省を兼ね自己分析を行った。プロのパフォーマンスは数字が示す。スタッツを見ていると、顔色が青ざめてきた。3パット率。「1ラウンドで1回以上、3パットをした計算ですね。元々、それほど飛距離が出る方ではなかったから、ショットの精度、ショートゲーム、パッティングで勝負をしてきた。でも、パッティングがこれほど悪いとは…。3パット撲滅作戦です」から着手した。

 1月、タイへ遠征。シニアツアーの実力者、プラヤド・マークセンから直接指導を受けた。「ご一緒にラウンドして、その折々で私が質問をする形式。マークセンさんは何もおっしゃらない。痛感したのは、ラインの読み方が間違っていたことです。去年は感覚を重視したけど、それではとても…。一からやり直しです。ルーティンからはじまって素振り、ラインを読む位置やストロークのリズムなど、すべてを変えたといっていいほど。ただ、今のパッティングの感触はとてもいい。心理面でも、迷いが解消。あとは試合で実践できるか、ですね」と、まだまだ安心した素振りはなかった。このあたりも頼もしく見える。

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 今季の目標は「最終戦へ出場することです」。サラリと答えた。JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップと、実にハードルが高い。なぜそうなったかといえば、これには理由がある。東京都出身ながら、宮崎・日章学園へ。気候、人まであたたかいところで、本格的にプロの道を模索した。JLPGA入会時、大山志保、柏原明日架が快く、推薦人のサインまで引き受けている。宮崎県へ足を向けては寝られないといった古風な一面が顔をのぞかせる。

 「ツアーに出て、たくさんのギャラリーの皆さん、それから各試合の関係者の方々など、実に多くの人たちが支えてくださることを実感しました。また、プロになるまでたくさんの方から、お世話になりましたね。少しでも、恩返しをしていきたい。私は、その気持ちを結果で示すしかありません」と誓った。

 花音と記し、はなね。和の人と記憶に残る。そこで、考えた。プロゴルファーにとって、最も幸せを感じる音とは。きっとバーディーパットがカップインする、あの音かもしれない。恩返しの音をいくつ響かせる-。

(中山 亜子)

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