2023.2.17
春を待つ94期生~新 真菜弥
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
コロナ禍の難しい調整を克服。2023年、プロ2年目のスタートを切る。21年11月、29.2倍という、狭き門を潜り抜けた94期生は逸材揃い-との評判が高い。
あたらし・まなみ=1999年1月29日、兵庫県神戸市出身
少しずつ復調の兆しが表れた。五里霧中の状況が改善されている。やはり、ゴルフは人生をかける価値があった。
今オフは、週4日のコース通い。ひたすらプレーする。それ以外の空いた日には練習場で、さまざまな下準備だ。考えるより、動く。今は、まさにその時。
「無心でクラブを振り切る。いつの間にか、できなくなっていたことです。去年はどんどんスイングが悪くなり結局、どんなアドバイスを実践してもうまくはいかなかった。悩んで、悩んで悩み続けたけど、今年はひとりでやってみる。試行錯誤の毎日です」と語った。
這い上がる。もう、後戻りは考えない。ましてや今年は年女。心機一転するきっかけがあった。5回目の挑戦で、最終プロテスト合格を果たしたことを考えればいい。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
「最終プロテストは、あきらめずにコツコツ取り組んできました。どんなに調子が良くても、本番になると、緊張しいでうまくはいかない。21年、コロナ禍の影響でプロテストが年に2回あった。でも、11月は城陽カントリー倶楽部が会場で、コースは難しくても、通るとすればここだ-という予感めいたものがあって…。これが最後と決め、臨んだらいい結果が待っていた」
人生のターニングポイントでチャンスをつかんだ。最終日、69のベストスコアをマークし、5位。「だめなら、ゴルフをやめようと思っていた。次のことを考えていたわけではない。唯一、興味があったのはキャビンアテンダント(客室乗務員)ぐらいでした」と、振り返る。
そうはいっても、JLPGA入会はゴールではない。ようやく、スタートである。小さな異変が少しずつ、忍び寄ってきた。「テストの後から、1Wが芯へ当たらないことが多くなって、いくら修正をしても悪くなる一方でした」。ルーキーイヤーの22年、「苦」の一文字を当てはめたように、成績が伴わない。
「シーズン途中で、ティーイングエリアへ立つと悪い予感ばかりが過る。もう、試合へ出場したくない。精神的にも追い込まれ、つらかったです」と、ため息まじりに語っている。
かつてない試練。それでも、つとめて明るく-を身上にした。一番の喜びはステップ・アップ・ツアーのデビュー戦、フンドーキンレディース。第1日、13番でイーグル奪取へ成功した。「特別賞をいただきました。20万円。一生、忘れない思い出です。フンドーキンさんは18年、TP単年登録で出場させていただいたことがある試合でした。JLPGA会員として戻ってくることができて、賞まで…。本当にうれしかった」。
<Photo:Ken Ishii/Getty Images>
取材の日も、練習場では600球を打ち込んだという。「きょうは、アプローチをたくさん。練習場ではマットの上ですからやりやすい。でも、コースになると、視覚によって惑わされたりしてしまう。もっと集中力を養わなければ、理想のボールが出ません。たくさん、数をこなしてできるまでやっていきます。何度でも」と日々、鍛錬を続けている。
今年の元旦、初詣へ出かけた。おみくじを引くと、大吉。やはり、気持ちがいい。勝負の世界で生きているだけになおさらだ。
「身の回りをきれいにすれば、心が澄んでくる。そんな心持ちになってきた。もっともっと、やります」と、よりひたむきになった。172センチの身長は同期でもっとも高い。全会員の中でも22番目。恵まれた体形だ。
よく、幸せの総量は決まっている、といわれるが、決してそんなことはないだろう。努力しだいで必ず増えることをぜひ、証明してほしい。
(中山 亜子)
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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