岩井千怜、今季2勝目に王手！　ツアー記録更新も期待

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

　JLPGAツアー2023シーズン第15戦『宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント』（賞金総額1億5000万円/優勝賞金2700万円）大会第3日が6月10日、兵庫県神戸市・六甲国際ゴルフ倶楽部（6513ヤード/パー72）で行われた。第1日から首位をひた走る岩井千怜がこの日も好調なゴルフを展開。67をマークし、通算19アンダーにまでスコアを伸ばした。5打差の通算14アンダー、2位タイは山下美夢有、申ジエ、脇元華の3人。通算12アンダー、5位タイに木村彩子、阿部未悠、安田彩乃の3人が並ぶ。
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《グリーン＝スティンプ：12 1/2フィート　コンパクション：23mm》

　前半の9ホールを5バーディー、ノーボギーの31で回り、その時点で2位以下に7打差をつけた岩井千怜。後半に入ってさらにバーディーを2つ奪い、21アンダーまで伸ばすと、にわかにアニカ・ソレンスタムが持つ、54ホール（パー72）終了時での最少ストローク、24アンダーの記録も視界に入ってきた。しかし、今大会初のボギーを16番で、2つ目のボギーを18番で叩き、通算19アンダーでフィニッシュ。残念ながら54ホール終了時での記録更新はならなかった。

　ただ、岩井の頭にはそんな記録のことは微塵も存在しなかった。「2位との差も分かっていなくて、自分のやるべきことに集中していたので、それ以外について気にすることはありませんでした」と、得意の集中力を強調する。瞬発系のスポーツと違い、ゴルフは長時間プレーするだけに、本来なら多くのことを考えてしまいがちだ。選手によっては、打つ時だけに集中する方法として、2打目地点に行くまで同組の選手やキャディーとゴルフに関係のない会話をすることもあるが、岩井がラウンド中に同組の選手と会話するシーンは少ない。とにかく目の前の1打に集中するのみなのだ。

＜Photo：Atsushi Tomura/Getty Images＞

　この日のラウンドで例を挙げるなら、9番・パー4の第2打だろう。ティーショットをフェアウェイ右サイドに落とし、ピンまで残り163ヤードの状況だ。最初岩井は6番アイアンを手にする。しかし、しばらくしてから7番アイアンに持ち替えた。「6番だとグリーン奥にこぼすかもしれないし、それを避けるには合わせるような打ち方になる。7番だとフルショットはできるが短いかもと考えていました。最終的に少しフォローが吹いてきたので、7番で打ちました」。ボールはピン右3メートルにつき、それを沈めてこの日5つ目のバーディーを奪った。このように、自分がこれから打つショットに対して様々なことを常に考えているため、余計なことを考える余裕がないのかもしれない。

　2位に5打差リードは大きなアドバンテージになるが、そこにもあまり関心はない。「ゴルフは何があるか分かりません。今日と変わらず、目の前の1打に集中してアンダーパーを出せるように頑張ります」と、千怜流を貫く。ただ、テレサ・ルーが16年の大王製紙エリエールレディスで記録した72ホールでの最少ストローク24アンダーを更新するチャンスは残されていることだけは間違いない。

（JLPGAオフィシャルライター・山西 英希）