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2023.6.11

レジェンドとしての矜持を見せた申ジエ、今季8度目のトップテン

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

宮里藍 サントリーレディスオープンゴルフトーナメント 六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)最終日

 結果的に優勝した岩井千怜との5打差を縮めることはできなかったが、一時は1打差まで詰め寄り、岩井の肝をしっかりと冷やした申ジエ。「自分が頑張ってスコアを伸ばしていけば、下から追い上げられた経験がない岩井さんにプレッシャーをかけることができると考えていました」。世界で63勝を挙げ、まさに百戦錬磨の申にしてみれば、いくら勢いに乗っているとはいえ、プロ3年目の岩井を動揺させることは容易に思えたのかもしれない。

 実際、前半のハーフで4バーディーを奪い、ジリジリと差を縮めていくと、11番ホール終了時にはなんと1打差にまで詰め寄った。「正直焦りました」と岩井も申の存在を認識せざるを得なかったが、そこから3打伸ばした岩井に対し、申が1打落としたことで、5打差に開いた。

 「岩井さんは私がスコアを伸ばしても、しっかりと自分のゴルフを貫いていました。ミスしてもリカバリーできますしね」。潔く負けを認めていた申だが、途中までとはいえ、岩井を簡単に勝たせなかったのは先輩として、レジェンドとしての意地があったからだろう。


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 今季は11試合中8試合でトップテンに入っている申。相変わらずの安定感だが、それを生んでいるのはやはりパッティングだ。昨年はパーオンホールでの平均パット数が1.8015(21位)だったが、今季は1.7373(3位)にまで上げている。特にロングパットをカップインさせるシーンをよく見かけるようになったが、この日も7番で10メートルのバーディーパットを沈めていた。圧巻だったのは3番・パー3でのバーディートライだ。ティショットをミスしてピン右から約20メートルのパッティングを残した。2段グリーンで下の段から上の段にあるピンに向かって打つ難しいパッティングだったものの、ボールは吸い寄せられたかのようにピンに寄っていく。惜しくもカップに蹴られて外したものの、大いにギャラリーを湧かせていた。

 せっかくなので、申にロングパットの極意を聞いてみると、「ボールが転がるスピードをとにかくイメージすることが大切です。あとは、ボールがここから曲がるというポイントを見極めることですね」。確かに申のルーティーンを見ると、カップの反対側から見る際、カップの真後ろからと、少しずれたところからラインを見ていた。

 優勝には届かなかったものの、18番ホール第2打地点に行くまでの間に、「AIG女子オープンの出場おめでとう」と、岩井に語りかけた申。グッドルーザーとしての振る舞いにはやはりレジェンドの風格が漂っていた。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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