2023.6.24
サイ ペイイン、あえて真っ直ぐ打たないパッティングで今季初めて首位タイに並ぶ
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第17戦『アース・モンダミンカップ』(賞金総額3億円/優勝賞金5400万円)大会第3日が6月24日、千葉県袖ケ浦市・カメリアヒルズカントリークラブ(6650ヤード/パー72)で行われた。ベストスコアタイとなる66をマークしたサイペイインが通算10アンダーで首位タイに浮上。山下美夢有、岩井明愛とともに首位グループを形成する。1打差9アンダーの4位タイグループには、岩井千怜、仁井優花、稲見萌寧、申ジエの4人が並ぶ。
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《グリーン=スティンプ:12 1/2フィート コンパクション:24mm》
首位と7打差の16位タイでスタートしたサイ ペイインが7バーディー、1ボギーの66をマーク。スコアボードを一気に駆け上がり、最終的に一番上に名前を刻んだ。
昨年の明治安田生命レディスで念願のツアー初優勝を飾ったサイだが、今季は思うような結果を残せず、ようやく前週のニチレイレディスで8位タイとなり、初めてトップテンに入った。その原因はパッティングの不調にあるという。「もうどうやって打っても入らないという感じです」。1ラウンド当たりの平均パット数も29.8444(62位)と振るわない。そこで、この日ついに禁断の打ち方を試した。
「あえてボールを真っ直ぐ転がらないように打ちました」。通常、どの選手もボールが真っ直ぐ転がるように打つし、そのための練習もしっかり行っている。サイも当然真っ直ぐ転がるようにストロークしていたが、なかなか真っ直ぐ打てなかったため、そのストロークを断念。最初からボールに横回転をかけて打っていたというのだ。
ショットでなら、インテンショナルに曲げて打つ選手は少なくないが、パッティングでインテンショナルスライス、フックを打ち分ける選手はほぼいないのではないか。「ホントは言いたくなかったんだけどね」と笑うが、それだけ効果絶大だった。
例えばコースでスライスラインを迎えたら、カット気味にヘッドを動かしてボールに右回転をかける。フックラインならインサイドアウトに振って、ボールに左回転をかけた。すると、面白いようにボールがラインの上に乗ると言う。どれぐらいボールに横回転をかけるかは、傾斜などの状況に応じてだが、圧巻だったのが最終18番・パー5でのバーディーパットだ。カップまで10メートルある下りのフックラインだったが、ボールに左回転をかけたことで、そのラインに乗り、見事カップインした。トータルでも26パットと、サイの通常からしたら、かなりいい数字であることは間違いない。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ただ、パッティングへの不安がなくなったからといって、必ずしもショットが良化するとは限らない。この日はティーショットが左右に曲がり、フェアウェイをキープできたのはわずかに7回。それでもラフからは無理をしないことを最初から決めていた。「最初からグリーンの花道を狙い、そこからアプローチする作戦です」。結果的にその作戦も見事にはまり、ボギーを叩いたのは436ヤードと距離の長い6番・パー4のみだった。
サイ自身も驚く首位タイで迎える最終日だが、同組には今季好調の山下美夢有、岩井明愛がいるとあって、「緊張します」とおどけて見せる。山下とは10歳違い、岩井とは11歳違いのサイだが、最終日はベテランらしい試合運びでツアー2勝目を目指す。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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