2023.8.24
大出瑞月が66 あの声が聞こえた
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第25戦『ニトリレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)が8月24日、北海道小樽市・小樽カントリー倶楽部(6,695ヤード/パー72)で開幕。前半組はホールアウトしたものの、天候の急変で回復が見込めないことから15時55分、サスペンデッドが決定した。第2日は7時30分から再開する。
暫定首位は6アンダーの大出瑞月。1打差の5アンダー、同2位タイは申ジエ、竹田麗央、脇元華がつけた。大会3連覇を狙う稲見萌寧は4アンダー、同5位タイと好スタート。
(天候:晴れ 気温:31.1℃ 風速:2.0m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:22.5mm》
気がつけば、5連続バーディー。大出瑞月が自己ベストタイの66、6アンダーをマークした。「不思議な感覚。今、振り返ると3連続でも気がついていなかった」という。
ただし、自身にだけ聞こえるエールが聞こえていたのだ。「私、中学までソフトボールをやっていた。そんなことから特に高校野球が大好きなんですよ」と、前置きし続けた。「夏の甲子園の決勝、見ていました。試合はもちろんだけど、仙台育英・須江航監督のファンです。結果は残念でしたけど、心に残る言葉がたくさん。試合中、切り替え、切り替えと叫んでいたことが耳にも心にも残った。きょうのプレー中も、切り替えの言葉が何度も、聞こえてきたんです。その通り、切り替えるというより、常にフラットな心持ちでずっといられたことが良かった要因です」。
前半を2バーディーで折り返す。そして、12番から快進撃がスタートした。6Iを選択した、自身ではミスショットの感覚がピン3メートルへ。あっさりとバーディーを決めた。13番は残り82ヤードの第3打がディボットだったにもかかわらず、54度で素晴らしいショットを披露。14、15番は切れ味鋭い第2打が際立った。
そして、ツアー屈指の難度が有名な16番へ。残り175ヤードの第2打を4Uで左上1メートルへ運ぶ。「グリーンが遅いから、そのぶんピン位置が厳しいところでした。1メートルとはいうものの、とても切れるライン。すごく慎重に、と心がけました」。なるほど、これが切り替えの妙だった。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
一方で、好スコアをマークしたといって、まったく浮かれる様子はなし。というのは、「このホールがキーになるなど、私は考えない。すべてが難しいと考える」。そうはいっても、18年大会の最終日には、その16番でバーディー賞を獲得したこともある。
「きょうは、ありがたいことにラッキーがあった」とひたすら低姿勢。さらに、試合後のインタビューで語った「須江監督の人生は敗者復活戦です-のひとことに感動しました。だけど、私の人生、敗者復活戦かなぁ」とポツリ。とんでもない。前週は、同期の蛭田みな美がツアー初Vを飾っている。ハッとしたように、「(優勝は)いつ来るか、わからない」。しっかり切り替えた。きょうの名言である。
(青木 政司)
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