2023.11.1
渋野日向子、1打1打に全力を尽くすのがテーマ
<Photo:Sam-Hodde/Getty Images>
全米女子プロゴルフ協会公式戦『TOTO ジャパンクラシック』(賞金総額200万ドル/優勝賞金30.5万ドル)が11月2日、茨城県小美玉市・太平洋クラブ美野里コース(6598ヤード/パー72)で開幕する。1日はプロアマトーナメントが行われた。
CMEグローブポイント上位80位までに与えられる来季の米女子ツアー出場権。現在、81位の渋野日向子にとって、今大会を含む残り2試合はかなりシビアな争いを強いられる。ただ、渋野に悲壮感はない。「残り2試合のうち1試合を日本でできるのは自分の中ですごく大きいこと」と前を向く。その理由はいくつかある。まずはギャラリーからの声援が期待されること。いくらメジャータイトルホルダーとはいえ、米国での試合では、多くのギャラリーを引き連れてプレーすることは少ない。しかし、国内での開催となれば、圧倒的な人気を誇る渋野だけに、大ギャラリーがプレーの後押しとなるような拍手や声援を送るのは必至。それをパワーに変えることができる渋野にとっては、大きな力となる。実際、今季出場したブリヂストンレディスオープンと宮里藍サントリーレディスオープンでは大勢のギャラリーが渋野のプレーを見守った。
また、いくらコースセッティングやピンポジションを米女子ツアーが決めるとはいえ、慣れ親しんだ日本の風景であることは間違いない。「狭いホールもありますし、砲台グリーンやフェアウェイの傾斜など日本ならではの難しさはあると思います」と語るが、米女子ツアーの選手ほどは難しく感じていないはずだ。もちろん、国内ツアーの選手よりはコースセッティングやピンポジションに戸惑いも感じない。
さらに、今大会は全選手が4日間プレーできる。「めちゃくちゃ大きいですね。だからこそ、第1日からいい位置にいたいと思います」と、気を引き締める。いい意味でのプレッシャーがある中で、第1日を上位でフィニッシュできれば、渋野の気持ちも上がり、ギャラリーも一層応援に力が入るというものだろう。
とはいえ、渋野が今季トップテンに入ったのはわずかに1度。「ドライバーショットの飛距離が落ちているので、フェアウェイからでも長いクラブを持つことが多い」ことが、今一つスコアを伸ばし切れない理由の一つでもある。飛距離が出ないのは「自信を持ってスイングできていないことやボールに力を伝えきれていないこと」など思い当たるポイントはあるが、解決策はまだ見つかっていないだけに、不安も募る。
今大会を迎えるに当たって、プラスポイントもマイナスポイントもある渋野だが、これまで何度もミラクルを日本のファンに見せてきた渋野。最終的にはメンタル面の強さが結果を左右する可能性は大きい。「4日間プレーできることを楽しみながら、日本のギャラリーの前でプレーできる喜びをかみしめたいですし、1打1打に全力を尽くして4日間戦いたい」という言葉を実践できれば、シード圏内へ突入する確率は一気に上がるはずだ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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