2024.1.16
JLPGA新しいヒロイン《95期生・大須賀 望》
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
おおすが・のぞみ=2002年2月1日、宮城県黒川郡出身
一つのきっかけが自信を生み、その自信がどんどん大きくなることによって成長していく。どの世界にも通ずる成功パターンだが、簡単にきっかけをつかめるなら誰も苦労はしない。ただ、思わぬところにきっかけをつかむチャンスがあるのも事実だ。大須賀望にとってのきっかけはあるテレビ番組への出演だった。女子プロ10人で競い合い、1ホール進むごとに最もスコアが悪い選手が脱落していく。最終的に9ホール目で1対1のマッチプレーとなり、そこで優勝すると賞金100万円を獲得できる。大須賀が出演したのは22年6月だったが、見事優勝したという。
「ミニツアーなどに参戦していましたが、緊張感が全く違いました。その番組にはプロテストに合格した方が何人も出ていましたし、最終ホールでは収録の前週にステップ・アップ・ツアーで優勝した方との対戦となり、そこで勝てたのは大きな自信になりました」。ストロークプレーならボギーを叩いても取り返せるが、サドンデス形式だと1つのボギーが致命傷になる。9ホールでの戦いとはいえ、緊張感の中で勝ち抜いた事実は心の支えとなった。
同年のプロテストでは第1次、第2次ともに2位で通過。最終プロテストも10位タイとなり、4度目の挑戦でついに合格を果たしたが、翌23年も大須賀の勢いは止まらない。ステップ・アップ・ツアーでシーズン2勝を飾り、賞金ランキング2位でフィニッシュ。今季のJLPGAツアー第1回リランキングまでの出場権を得ることに成功したのだ。しかも、22試合に出場して予選落ちがゼロだったというのだから恐れ入る。
「シーズン序盤は緊張していましたが、試合数が増えてくると、ゴルフ脳が鍛えられたのか、考え方やプレースタイルが変わって結果もついてきました」。まさに自信がどんどん大きくなり、成長していった過程が伺える。となれば、JLPGAツアーでの活躍が楽しみになるが、大須賀自身はそれほど甘い世界ではないと考える。
「ステップ・アップ・ツアーと比べて予選カットラインが変わらなくても優勝スコアが大きく違うので、まずは平均ストロークを上げないといけません」。優勝スコアだけでなく、ラフの長さやグリーンの硬さ、スピード、ピンの位置など、コースセッティングも大きく異なり、選手層も厚いだけに、上位に食い込むのは容易ではない。その対策として、ドライバーの平均飛距離15ヤードアップを目標とした筋トレを昨年から行い、ショットの精度にも磨きをかけている。
2年連続年間女王のタイトルを獲得した山下美夢有とは同学年。ジュニアの頃から仲がよく、一緒にゴルフ合宿に参加したこともあった。ようやくその山下と同じ土俵で戦うことになるが、そこまでたどり着くのに焦りはなかったという。「昔から雲の上の存在でしたからね。むしろ、身長も近いですし、飛距離もほぼ一緒なので、プレースタイルを参考にしたいです」と、女王のエキスを吸い取るつもりだ。
「JLPGAツアーはキャディさんを帯同できるので、苦手なパッティングのライン読みを頼れるのが大きいかなと。試合数も多いですし、チャンスはどこかにあると思います」。目標はツアー初優勝とシード権の獲得。身長146センチの大須賀が達成すれば、どちらも史上最少記録の更新(これまでは馬場ゆかりの149センチ)となる。ツアーに新たな流れを生むのか要注目だ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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