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2024.1.17

JLPGA新しいヒロイン《96期生・浅田 実那》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

あさだ・みな=1997年12月22日、愛知県名古屋市出身

 一度はあきらめた道だった。18歳から21歳まで4年続けてプロテストを受験。最終プロテストに進めたのはわずかに1度。だが、それすらも第3ラウンドでカットされてしまった。ただ、当時はプロテストに不合格でもQTにチャンレンジすることができ、17、18年はTP単年登録者としてJLPGAツアーやステップ・アップ・ツアーに出場していた。ところが、20年からは原則的にプロテストに合格したJLPGA会員でなければツアーに出場できなくなる。全てを賭けて19年のプロテストに挑戦したが、第2次予選すらクリアすることはできなかった。

 11歳からゴルフを始め、将来はツアープロになることを夢見ていた。中学入学と同時に、地元の名古屋市を離れ、宮崎県にある『さくらアカデミー』の門を叩く。同アカデミーは横峯さくらの父親である良郎氏が主催するもので、浅田はそこの寮で生活していた。高校へ進学することもなく、ただひたすら毎日ボールと向き合っていたが、プロテストの壁は予想以上に厚かった。

「普通にこれ以上続けても無理だなと思ったんです」。せっかく続けていたのだから、もう少し頑張ってみたらと第三者は思うかもしれない。しかし、目一杯に頑張ったからこそあきらめがつくこともある。浅田は自ら第2の人生を歩むことを決断した。

 「大阪にある不動産会社に営業職として務めました。正直、あまり仕事ができた方だとは言えませんが・・・」。それでも3年間務めていたのだから、浅田なりに必死に取り組んでいたことは想像に難くない。途中何度か良郎氏からもう一度プロを目指さないかという打診はあったが、首を縦に振ることはなかった。そんな浅田の気持ちに変化が出たのは、22年の夏だった。同学年の脇元華、スタイヤーノ梨々菜、石川明日香らが活躍する姿をSNSで見ているうちに、「もしもあのまま続けていたらどうなっていたかな」と考えるようになったのだ。

 モヤモヤした気持ちを抱えたままでは、仕事にも集中できない。一度だけ頑張ろうと決め、22年9月から再びプロテストを目指すことになった。「就職していた頃は週イチのペースで練習場には通っていましたが、ラウンドはほとんどしていませんでした」。スコアを出すにはラウンド経験が足りないと思い、トム・ワトソンゴルフコースの会員権を購入。メンバーになれば1人でもラウンドできるからというのが理由だった。幸いにも勤めていた不動産会社がスポンサーとなり、資金を援助してくれたことでほぼ毎日ラウンドできたという。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 第1次予選まで約11カ月。最終プロテストまで約14カ月しかないことを考えると無謀にも思えたが、トントン拍子に最終プロテストにまで進むことができ、初めて最終日を迎えることができた。しかも、その時点で首位と2打差の3位タイ。最終日をパープレーでまとめ、8位タイでホールアウト。最初のプロテストを受験してから足掛け8年、ついに念願の合格を果たした。

 「プロになった自覚はまだないですね」。TP単年登録者としての経験があるだけに、まだ実感はないのも納得できる。しかし、浅田の中には今度こそという思いは強い。「そのためにもアプローチとパッティングを磨きたいです。ホントにヘタクソなんで・・・」。このオフはメンバーでもあるトム・ワトソンゴルフコースでラウンド練習を積み重ねている。プロとしてのスタートは遅くなったが焦る必要はない。1年でも長く活躍すればいいだけの話だ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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