2024.1.18
JLPGA新しいヒロイン《96期生・神谷 和奏》
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
かみや・わかな=2001年10月1日、千葉県富里市出身
4度目のプロテスト挑戦で合格を果たし、『ママさんルーキー』として話題を集めた神谷和奏。子育てをしながらツアープロとして成功するには、短い練習時間をどれだけ有効に使えるかがカギを握る。そのための手段として彼女が昨年行ったのが、今の自分に足りないものを具体的に列挙することだった。
「ドライバーの飛距離、ショットの安定性、パッティングのライン読み、パターの打ち出し、練習ラウンドの質、ボディコントロール、セルフコントロールです」。この中で重視していると思われるのが、練習ラウンドの質とボディコントロールだ。前者は、愛娘の咲凛ちゃんが保育園に通うようになったことで練習場へ行く時間ができたものの、ラウンドへ行く回数が極端に少ない神谷にとっては貴重な機会となる。今季はステップ・アップ・ツアーを主戦場とするが、これまで以上に集中力を高めて練習ラウンドを行うつもりだ。
「とにかく情報量を増やすことです。ピンがこの位置ならNGゾーンはどこか、グリーンの傾斜や芝目はどうかなど、2、3回のラウンドで得られる情報を1回のラウンドで得るつもりです」。同伴者の打球やパッティングも見逃さず、より多くのデータを集め、コースマネジメントに反映する。昨年のJLPGA新人戦 加賀電子カップでもそのようにラウンドしたが、今までよりもコースマネジメントへの意識が高まり、どのようにそのホールを攻略するかを考えるだけで楽しかったという。
また、昨年から取り入れたのがボディコントロールだ。SNSでたまたま見かけたのが、姿勢矯正トレーナーである星子豊秀氏が代表を務めるRegulusのサイトだった。「日本人が正しい姿勢と思っている『気をつけの姿勢』は体によくないとか、そういう言葉が心にグサッときて試してみようと思ったんです」。止まっているボールを打つゴルフでは、静から動への流れが基本となるだけに、他のスポーツよりも姿勢は重要視される。さらに、神谷の場合は体が柔らかすぎるせいか、自分のスイング自体にコンプレックスがあり、それを解消するには姿勢を矯正することが役立つと考えた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
「最近は本当に立っている姿勢が変わってきたんです。最初は反り腰でしたが、今は骨盤が下を向き、骨盤で地面をとらえる形に変わってきました。肩も正しい位置に戻っています」。体験者でなければ分かりにくい話ではあるが、神谷としては大きな変化を感じている。もちろん、立っているだけでゴルフはできない。アドレスがよくてもバックスイングでは膝に重心がかかっていては問題だ。股関節にきちんと重心が乗っているかをチェック。徐々に正しいスイングへとシフトしているという。
姿勢矯正はまだ完成ではなく、ステップ・アップ・ツアーの開幕を迎える4月頃には今以上に良化している見通しだ。完成したら第2段階としてスイング改造へ本格的に取り組むが、現段階でも手応えはある。「以前は緊張するとパッティングの時に手が震えていたんですけど、姿勢を矯正していく段階で徐々にそれが改善されてきたんです」と、ショット以外にも効果が波及している。最終的には飛距離アップやショットの安定にもつながるという神谷。プロテスト合格時には、「ツアー優勝した姿を娘に見せることが目標です」と語っていたが、着々と目標達成に向かって準備を進めていることは間違いない。同時に、『ママさんゴルファー』としてできるだけ多くの人に勇気を与えるプレーを見せるつもりだ。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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