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2024.1.18

JLPGA 新しいヒロイン《95期生・藤井 美羽》

<Photo:Kenta Harada/Getty Images>

ふじい・みう200476日、愛知県名古屋市

 取材時の第一印象は、静の人だった。ところが着席し、対じすると透き通った瞳が印象的だ。吸い込まれてしまうような-。

 23年のルーキーシーズンを総括すると、興味深いエピソードがあった。「ツアーでは、すごく練習環境が良い。ステップ・アップ・ツアーでも芝の上からボールが打てることがたくさんありました。私の場合、この一年で上達したのはショートゲーム。特にグリーンまわりのアプローチの精度が上がりました」という。

 そして、「私が練習していると、先輩方が気さくに声をかけてくださった。佐藤靖子さん、西山ゆかりさん・・・。たとえば、左足下がりの場合、それまでひとつの打ち方を繰り返していただけですけど、おかげさまでシーズン中からバリエーションが増え、3つ、4つと増えてきた。いろいろなロケーションで対応できるようになってきたと思います」と、感謝を伝えている。年齢でいえば、ふた回り以上も違う。経験豊かなベテランが思わず、声をかけたくなる。そんな魅力と資質に恵まれた証なのだろう。

 一方、同期の友人はステップの賞金ランキング1位に輝いたウー チャイェンがいる。22年最終プロテスト合格時から親交を深めた。「不思議とウーさんが活躍すると、私まで成績がいい。中国新聞ちゅーピーレディースはウーさんが優勝した試合ですけど、私もそれまでで一番の成績をおさめた。それから山口周南レディースカップでは最終日、ウーさんと同組で彼女が2位。私もステップで初めてトップ10へ入った。だけど、ウーさんは、パーをセーブするように、バーディーをとっていたし、もっともっと私は努力しないといけない。そう感じて強くなる。新たな誓いを立てた試合になった」と語っている。

 もっとも、一発合格は果たしたものの、プロ1年目は手探りの状態。「心配なことばかりです。年間を通して体力が維持できるか、不安で仕方がない。だけど、おかげさまで最後まで休むことなくツアーを戦うことができました。私が一番、驚いているんですよ」と前置きし、今オフは飛距離アップに取り組んでいる。

 「ただ、練習するだけではダメですよね。トレーニングを積んで筋力アップにつとめなければなりません。トレーナーさんからは、あなたは伸びしろばかりです。そう、激励してくださった。体力はまずまずでも私自身、運動能力がないと思い込んでいましたから・・・。底辺から高みを目指している段階ですけど、最近はすごくがんばっている。期待に応えます」と言葉が弾んできた。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 スポーツ歴はダンス。ヒップホップの指導を受け、地域のお祭りが発表会だったそうだ。「結構、習っている子が多かった。お祭りですから、やぐらを組む。その上で踊れるのは、ほんのひと握りで他の人はやぐらの前で・・・。私は幸い、やぐらの上で踊ることができた」とも。それはそうかもしれない。最難関の最終プロテストを一発合格。類まれな素質、リズム感などを兼ね備えていなければサバイバルを勝ち抜くことなどできるわけがない。

 本格的にゴルフへ取り組むまで続けた、ピアノも現在はいい気分転換になっている。加えて、趣味のイラストも上達中。「好きなアニメのキャラクターを描き、イラスト用のペンでグラデーションをつける。母のお兄さんがデザイナー。祖父も絵手紙などを描いている。血は受け継いでいると感じます。京都アニメーションが制作したFree!の桐島郁弥は結構、書きますね」。

 現在はプロゴルファー、また中京大学スポーツ科学部へ在学中だ。「ツアーとの両立は本当に大変。学部はスポーツとついていますけど、英会話の勉強など、カリキュラムがたくさんあります」と笑っていた。

 24年は動の人へ転換。「ステップで願わくば、1位になりたい」と漏らし、瞳の奥で燃える、闘志の炎がみえた。なるほど、目は口ほどにモノをいう。

(青木 政司)

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