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2024.1.24

JLPGA新しいヒロイン《95期生・小暮 千広》

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

こぐれ・ちひろ2003528日、千葉県松戸市出身

 ボタンの掛け違いによって、予想外の不調に陥ることはよくある話だ。昨シーズンの小暮千広はまさにそのような状態だった。2回目の挑戦となった22年の最終プロテストでは、トップ合格の座こそ同学年の神谷そらに譲ったものの、2位タイで合格。ルーキーイヤーとなる23年は、ステップ・アップ・ツアーで賞金ランキング上位に入ることを目標としていた。ところが、スイングの微調整が裏目に出る。

 「大幅にスイングを変えるのではなく、スイングを良くするために少し変えるつもりだったのですが・・・」。自分が思っていた以上に修正してしまい、逆にショットの精度を下げることになった。さらに、腰痛が再発し、まともにクラブを振れない状況に陥る。結局、ステップ・アップ・ツアーでは、19試合に出場し、賞金ランキング95位に終わった。

 「スイングも含めてゴルフに対する自信をものすごく失くしてしまった1年でした」。特に終盤は予選落ちが続いていただけに、何をやっても上手くいかない気持ちになっていたのだろう。シーズン終了後すぐに行われたQTファーストステージも失敗。12月に行われたJLPGA新人戦 加賀電子カップにすら出場したくなかったほど気持ちは落ち込んでいた。

 もちろん、このまま低空飛行を続けるつもりはない。なぜなら、小暮には大きな夢があるからだ。「21年の全米女子オープンで笹生優花さんが優勝カップを掲げているのを見た時、自分もいつかはああなってみたいなと思ったんです」。当時の小暮は18歳になったばかりの高校3年生だったが、実は現地でその姿を見ていた。というのも、小暮自身も同大会に出場していたのだ。

 「最終予選会には元々姉が出る予定でしたし、私にとってもいい経験になるかなと。開催コースの横浜カントリークラブを回ってみたい気持ちもあったので参加しました。ホールアウト後に、プレーオフと言われたときは『本当に』って感じでした」。そのプレーオフを勝ち抜き、見事本戦への切符を手にしたわけだが、それまで日本女子アマどころか、日本ジュニアにも出場したことがない無名の女子高生がいきなり海外メジャーに出場するのだから、人生は何があるか分からない。本戦では予選落ちしたものの、米国屈指の難コースであるザ・オリンピッククラブをラウンドし、メジャーの雰囲気を味わっただけでも財産になった。しかし、それ以上に笹生の雄姿を目の当たりにしたインパクトを忘れることはできない。

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 ただ、全米女子オープン出場は単に幸運だったからではない。結果こそ出ていなかっただけで、毎日練習するなど地道な努力はずっと重ねてきた。その土台に、高2の冬から師事している黒宮幹人コーチのアシストが加わり、ようやく小暮のゴルフが花開いたのだ。翌年には日本女子学生ゴルフ選手権のタイトルも獲得し、最終プロテストもクリア。近い将来、米女子ツアー参戦の青写真すら描いていた分、昨年の不調は予想外だった。このオフはゴルフの立て直しが一番の課題となる。

QTの後、コーチには自分の悪いところを伝え、スイングの動画も見てもらいました。上手く体が反応してくれないので、なかなか修正できませんが、オフの間に自分のスイングを確立できれば・・・」。QTランキングが236位なので、今季はステップ・アップ・ツアー出場も厳しい。主催者推薦選考会や予選会からの出場を狙うことになるが、全米女子オープンのときと同じように、チャンスが来たらいつでも戦えるだけの準備は整えておくつもりだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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