2024.1.31
JLPGA 新しいヒロイン《96期生・石田 可南子》
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
いしだ・かなこ=1994年5月6日、兵庫県出身
6年ぶりのツアー生活が到来。QTランキングは53位で今季はJLPGAツアー、ステップ・アップ・ツアーを戦う。「オフはやはり、体力をつけることが大切。年間を通し、安定した成績を残すためには体力でしょう」。試合が待っている。もう、これだけでヤル気倍増だろう。
23年、最終プロテストで2位タイ合格を果たした。実に9回目の受験。「苦労しました。すごいことです」と、改めて語った短い感想からも苦労がしのばれる。「受験のたび、年齢もあるでしょう。合格することがだんだん厳しくなっていく。私が一番、わかっていると思います。一年、一年、身をもって体験しました」と続けた。
ゴルフとの出会いは意外である。「地元兵庫で開催された男子ツアーを見たことがきっかけです。試合の後、誰でも参加できるジュニアのレッスン会があり、そこへ参加。でも、私はクラブを握ったことが一度もない。当然、10ヤードぐらいボールが飛んだか、飛ばないか・・・。クラブがボールへ当たるか、当たらないか程度でした。ご指導くださったのは中嶋常幸プロ。ほんの数分でしたけど、その姿を父が見て、よしっ、となったみたいです。実際、私からゴルフを習いたい、やりたいといったわけではありません」。11歳、これがファーストコンタクトである。
そして、大阪学院大学高等学校へ。「進学する時、最も重視したことはゴルフ部があるか、です。高校時代、もっとも感謝したことは個人のレベルにかかわらず、同じ練習メニューを行うところかなぁ。私は一般入試。推薦で入った人とは差があった」そうだ。さらに、「仲良しができて、その方がプロ志望。それなら私も-ついていくとなった。でも、彼女は25歳をきっかけにプロテスト受験を断念。ただし、その時は私も迷ったけどあきらめることはなかった」という。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
継続は力になる。見事、9回目のチャレンジで悲願を達成。とはいえ、1位合格の清本美波、同じ2位タイ合格の馬場咲希が18歳だったことに驚きを隠せなかった。「11歳も違います。みんな若い。うらやましいです。だけど、勢いに飲み込まれてはいけません。経験を生かした賢いプレーができたらいい。そういうスタイルを目指します」と誓っている。
かつて17、18年はTP単年登録でツアーへ出場。その後はチボリゴルフ(宝塚市)でインストラクターとして、指導も行っている。22年、一念発起でJLPGAティーチングプロフェッショナル資格を目指す。「講習は3年間。その内、2年目がもっとも大変です。本当に去年は、プロテストと二刀流。ここまでやってきたことを形に残したい。そんな思いで頑張っている。24年は講習の最終年。ツアーと両方、やりますよ」と意欲的だ。
一方、目標とする選手を迷わず、申ジエと書き込んでいる。20年、日本女子オープンではこんな思い出がある。「ストイックな感じが魅力です。もちろん、ご一緒にプレーしたことはありません。ただ、20年の日本女子オープンへ出場した時、練習場が前後、二段になっていて、ジエさんのうしろがあいていました。ラッキーです。うしろから格好いいなぁと感激しながら、ショット練習を拝見しました」と振り返る。
余談だが、この時、瞳と目の下が輝いた。メーク、アクセサリーなどもシンプルながらひと工夫を加えている。「コロナ禍でマスクの着脱の際、ピアスをしていると引っかかるんです。だからイヤーカフにした。それから、目の下には少し、ラメをつけている」と教えてくれた。気取らない、おとなのおしゃれだろう。
今年5月、30歳を迎える。立ち止まってはいられない。而立の時だ。
(青木 政司)
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