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2024.2.5

JLPGA新しいヒロイン《95期生・森 彩乃》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

もり・あやの=2000年11月23日、神奈川県出身

 自宅から通える近隣の高校か、寮生活を強いられる遠方の高校か、中学3年生だった森彩乃は進路に迷っていた。最終的に練習環境がいい新潟県の開志国際高校を選択。実際に通ってみると、取り巻く環境に驚かされた。学校の裏手には同校と同じNSGグループが運営するゴルフ場(櫛形ゴルフ倶楽部)があり、ラウンド練習ができるだけでなく、ゴルフ部専用のアプローチ練習場まであるというから驚きだ。もちろん、ドライビングレンジでは練習し放題。「ただ、行き帰りが自転車で、どちらも急な上り坂があり、結構きついんですよ。コンビニへ行くにも、やはり自転車で10分ぐらいかかってしまって・・・」。都会育ちの森にしてみれば、そのような経験が今までなかっただけに、余計にきつく感じたのかもしれない。しかし、見方を変えれば足腰が鍛えられたのはむしろ好都合だったといえるだろう。「今になって振り返ると、開志国際を選んでよかったなと思います」と振り返る。

 スポーツ推薦で法政大に進学すると、1年生からレギュラーとして活躍。大学4年時には主将としてチームを引っ張った。同時にプロテストへの準備も進め、見事一発合格を果たしたわけだが、決してスムーズだったわけではない。森が3年生のときだ。プロへの道を歩むべきかどうか悩んだという。「日本女子学生ゴルフ選手権には出場していましたが、果たしてトーナメントで生活できるだけの賞金を稼げるのだろうかと。今からでも就職活動を行って一般企業に就職した方がいいんじゃないのか」。確かにその方が堅実な人生を送れるかもしれない。しかし、プロゴルファーへの夢を捨て切れないからこその悩みでもあり、迷いでもある。そんなときに、手を差しのべてくれたのが、服部道子だった。

 「お世話になった方からの紹介でしたが、私の悩みを聞いて下さる時間をいただけたんです。実は、服部さんも大学時代はプロへ進む気がなかったらしく、親身に相談に乗っていただけました」。服部からは森がどちらの道を選んでも正解だとアドバイスされたが、最終的にはやりたいことをやった方がいいということばが森の背中を押したという。止まっていたツアープロを目指す気持ちの針が再び動き始めた。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 プロテスト合格後、QTファイナルステージまで進み、44位となる。第1回リランキングで順位を上げるつもりだったが、それまでに出場した9試合全てで予選落ち。後半は4試合しか出場できず、それも全て予選落ちとプロの洗礼を浴びた。ステップ・アップ・ツアー12試合にも出場したが、予選通過はわずかに3試合だった。それでも、QTファイナルステージでは46位に入り、リベンジの機会は得た。今季はシード選手のうち4人がUSLPGAツアーに参戦しているので、前半戦は昨年と同じ9試合の出場は期待できる。成績次第では第1回リランキングで上位に入ることは十分可能だ。

 「ツアーで戦うだけの体力もなければ、技術面でも練習量でも劣っていました。同じ失敗を繰り返さないためにも、このオフにしっかり対策するつもりです」。ドライバーの飛距離は通用するが、ラフや傾斜からだとグリーンをとらえる確率がグッと下がる。そこからのアイアンショットの質を上げること、そしてアプローチのバリエーションを増やし、試合で使えるようにすること、硬いグリーンにも対応できるショット力を身につけること、風に負けないボールを打つことなど、課題は多い。道程は険しいが、時間をかけるつもりはない。「自分にゴルフを勧めてくれた祖父母が元気なうちに優勝した姿を見せたいんです」。悩みながらもたどり着いたツアープロへの道。後戻りする気は一切なく、前を向くだけだ。

(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)

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