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2024.2.14

JLPGA 新しいヒロイン《96期生・ベイブ・リュウ》

<Photo:Gene Wang/Getty Images>

べいぶ・りゅう=1993年1月13日、台湾省桃園県出身

 本当なら24年は、終わりの始まり。どういうことかといえば、プロゴルファーではなく、第二の人生を歩んでいく計画だった。

 23年JLPGAのプロテストのエントリーが迫る1カ月前のことだ。自身では引退を決め、両親やスポンサーなどに決意を伝える。ツアーには出場せず、「ビジネスをやろう。スポンサー(kinosho TRANSIT)で物販をするのもいい。レッスンをするのも新鮮だと考えた」そうだ。

 ところが、コーチから猛反対を受ける。「故障が良くなって、すごく調子が良くなっている。にもかかわらず、なんでゴルフをやめるのか、と怒られました。また、母にも引退の気持ちを伝えたけど、その時から台湾ツアーの成績が右肩上がりで良くなってきたわけです。何か、皮肉な話だけど一度、やめると線引きをしたことで気持ちが楽に・・・。それでもう少し、やってみようと思って日本のプロテストへエントリーしたわけです」と、心の葛藤を語っている。

 振り返れば15年から4シーズン、JLPGAツアーでプレー。TP単年登録でステップ・アップ・ツアーのフンドーキンレディースで優勝を飾った。他にも17年ニトリレディスゴルフトーナメントの第3日、大会コースレコードの64をマークし、2位の成績をおさめている。

 18、19年とプロテストを受験したものの失敗。ところがコロナ禍を経た昨年、三度目の正直で合格を果たした。「意外です。これで最後と思っていたから、緊張せず、伸び伸びとプレーをできたことが良かったのかもしれません」と話した。来日していない時でも、台湾ツアーでプレー。19-21年は賞金ランキングすべてトップ5、22年=12位、23年=15位の実力者だ。今季の賞金ランキングはもっか2位と好調である。

 それだけに、周囲がもったいないと引き留めたことは当然か。一方で、自身が、「私は日本のコースが好き。速いグリーンなど、プレースタイルに合うからです」と、より意欲的になった。QTランキングは45位。「第1回、リランキングまでに5試合は出られると思います。その他はステップ・アップ・ツアーへ出場。優勝を目指して全力でプレーする。18年までは左手首、左足首の故障に悩まされたけど、もう心配ない。おかげで1Wの飛距離が伸びている」と手応え十分な様子だ。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 しかし、ひとつだけ残念なことがあった。「ニトリレディスの小樽カントリー倶楽部でプレーしたかった。でも、改修のためにコースが変更に・・・。すごく残念です」。取材は通訳をつけず、すべて日本語で行った。以前にも増して流ちょうに。中国語は当然だが英語、韓国語と4カ国を操る才媛だ。「来日していない期間も、先生について日本語の勉強はしていた。発音や文法など、私はまだまだですよ」と謙虚な態度が好印象だった。

 それにしても、会話以上に驚くのは漢字やひらがな、カタカナまでスラスラと書く。これもまた、努力の積み重ねの賜物だ。

 登録名のベイブは赤ちゃん、子どものこと。幼少時から両親からバオベイ(中国語のベイブで、赤ちゃん、宝物の意味)と呼ばれた。それがニックネームに。19歳で米国留学をした際、「みなさんからもベイブと呼ばれ、指で鼻を上げ豚のようにすることがお互いのあいさつにもなった」。かつて世界中で大ヒットした、オスカーを受賞した映画「ベイブ」が有名だ。主人公は子豚。その影響が大きい。

 ただし、プロになってTLPGAへ登録する時は、「本名で、と考えたけど会長(劉衣貞)と同姓同名だったから、あまりに恐れ多いでしょう。呼ばれ慣れた、ベイブにしました」。

 ルーキーとしての再出発を迎え、より会話が弾んだ。

(青木 政司)

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