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2024.2.16

JLPGA 新しいヒロイン《96期生・稲垣 那奈子》

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

いながき・ななこ=2000年8月24日、埼玉県川口市出身

 スポーツ歴を拝見するとスキー、水泳、器械体操。いずれも動のスポーツだが、あえて静ともいえる、ゴルフに打ち込んできた。その魅力について、「常にうまい選手が勝てるわけではない。それが最大の魅力。加えて、脳をフル回転させ、コンディションを把握しなければならない。要はゲーム。しっかりとマネジメントを行って、終わってからのスコアで競う。本当に奥が深い」と、かみしめるように話した。その上で、もうひとこと。「飛距離が出るだけでもダメ。パッティングだけが決まっても必ず、スコアがいいわけではありません。トータルで評価を受けるがいいんです」。

 若年傾向が進行中。しかし、あえて早大進学を選択した。スポーツ科学部スポーツ医科学科で学んだ。「ケガをすることがあったので、何とかしたい。でも、ケガを予防するためには栄養学など、ありとあらゆる関係性が出てくる。すべてつながっているわけです。いろいろと勉強しました」という。すでに昨年3月、卒業。最終プロテストを受験したが落選し、2度目のチャンスをものにした。

 プロを目指す志が固まったのは中学3年。「私はひとりっ子。両親が夏はゴルフ、冬がスキーというタイプです。3人でラウンドできればいい-そんな感じでした」と加えている。

 早大ではゴルフ部へ。1年時から戦力となって1部リーグへ昇格した。「今は男子が強いです。私たちの時は下級生の入部希望者が少ない。最大で15人程度でした。いちおう、少数精鋭ということになっていたけど精鋭でもなかったです・・・」と苦笑する。4年の時は主将をつとめた。

 幼少時から文武両道を貫いている。取材中の受け答えも違う。思慮深い。「小学校、中学校と勉強が厳しかったです。お受験で入ったといっても、それほどの進学校ではありません。でも、皆さんが優秀で周囲に引っ張られるように、私まで勉強するクセがつきました」と首をひねりながら、「私には必要がない、と感じた学科もあるけど、すべてやらなければならなかった。大きくなればわかることです。高校時代、役にたったことがたくさん。ムダなものなどありません」と達観した様子である。

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

 一方で、大学の専門課程からてっきり理系と思ったものの、好きな学科は日本史とは意外だ。「流れがあるものに興味をひかれる。数学は答えがひとつ。それはそれでいいことですけどね。特に歴史は変遷と、時代の背景、文化史まで理解を深めなければなりません」と説明した。

 歴史上の人物で、この人は-との質問に「菅原道真公でしょう。学問の神さまですから。飛梅のお話がとてもいい」と語っている。参考までに飛梅伝説は、京都・五条の邸宅に、道真が丹精した梅の木があった。政争で敗れ、無実ながら大宰府へ流されることが際に、『東風吹かば にほひをこせよ 梅の花 主なしとて 春を忘るな』と詠んだ。そして、梅の木は道真の後を追い、大宰府へ向けて空に飛び立ち降り立った。御神木となった飛梅は、現在も大宰府天満宮で親しまれている。

 「そんな影響でしょうか、梅の花が好きです。知人から梅の盆栽をいただきました。川口の安行地区は植木の里で、育てるための勉強に行ったことがある。でも、プロテストなどで忙しかったから、今は実家で祖母が世話をしています」とも。

 梅の花言葉は「忠実」、「高潔」、「忍耐」、「気品」。プロゴルファーには、いずれも必要な要素だ。「去年、ステップ・アップ・ツアーへ3試合出場機会をいただき、まずまず上位の成績がおさめられた。でも、JLPGAツアーでは、これまで3年前の日本女子オープン以外は、すべて予選落ち。プロの皆さんは最後までタフに戦っています。オフは体力、筋力をしっかりアップさせないといけません」と肝に銘じる。

 得意クラブは1W。ルーキーシーズン、もうすぐ、開幕である。

(青木 政司)

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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