2024.2.22
JLPGA新しいヒロイン《96期生・馬場 咲希》
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ばば・さき=2005年4月25日、東京都日野市出身
常に何かを得ようと貪欲な人間は、一つのきっかけで急成長を遂げることがある。馬場咲希は一昨年に持ち球をドローボールからフェードボールに変えたことでゴルフが変わったという。実際、この年は馬場にとってメモリアルなシーズンとなった。4月に開催された全米女子オープンの日本予選では36ホールの長丁場にもかかわらず、5アンダーをマークして本戦の出場権を獲得。その本戦では日本人アマチュア選手として8年ぶりに予選通過し、49位タイでフィニッシュした。パインニードルズ・ロッジ&GCという難コースで4日間戦ったことで、自分のゴルフに対する自信をさらに深めたのだろう。その約2か月後に開催された全米女子アマゴルフ選手権では、日本人として37年ぶりに優勝を飾るという偉業を達成したのだ。
「優勝を目指していたものの、本当に勝ててビックリしています」と語っていたが、17歳の躍進に驚かされたのは、むしろ日本のゴルフ界だった。その後は、国内トーナメントにも出場する機会が多くなり、ローアマをいくつも獲得してきた馬場。昨年の最終プロテストではプレッシャーを感じる様子もなく、12アンダーの2位タイで一発合格して見せた。
「ちょっとドキドキしましたが、合格できてホッとしています」。しかし、この時点ではまだ心の底から安心したわけではない。というのも、馬場自身の目標であり、夢でもあるUSLPGAツアー挑戦への関門が残っていたからだ。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
最終予選会となるQシリーズで45位以内に入れば、今季の出場権を得ることができる。しかし、世界中からプロとしての実績を持つ選手が鎬を削るだけに、そう簡単に上位へは食い込めない。馬場は62位タイに終わり、出場権の獲得はならなかった。
今季、馬場が選択する道は3つあった。米国の下部ツアーであるエプソンツアーを主戦場にすること、日本の下部ツアーであるステップ・アップ・ツアーを主戦場にすること、そして3試合の推薦出場を見込めるJLPGAツアーで戦うことだ。馬場自身が最終的に選択したのは、エプソンツアーへのエントリーだった。将来的にUSLPGAツアーで戦いたいのであれば、賢明な選択といえる。地域によって芝質が異なるゴルフ場への対応力も身につくし、言葉や食習慣にも早めに馴染むことができる。ツアー自体のレベルも高いだけに、経験値を上げるには最適だろう。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
今月はタイで合宿を行っていた馬場だが、帰国後に沖縄で最終調整をした後、3月8日から開催される同ツアーの開幕戦・フロリダナチュラルチャリティクラシックに出場する。今年から同ツアーでの年間ポイントランキングで15位以内に入れば、翌年のUSLPGAツアー出場権が与えられるだけに、全力で挑むつもりだ。
米国では単身で渡るため、移動はもちろん、生活面でも全て自己責任となる。このオフに自動車免許の教習所へ通っていたのもそのためだ。当面はホテルではなく、試合ごとにホームステイを行う予定だけに、英語の上達も期待できる。
馬場のスイングを中学1年から見てきた坂詰和久コーチによれば、「このオフはショットだけでなく、ショートゲームも含めて、ゴルフ全体のレベルを上げることが課題でした」と、ランクアップを目指している。インスタグラムを見ると、ダウンスイングで右足かかとを浮かせてしまうクセを修正中のようだが、そこが改善されればショットの精度は今以上に上がるはず。18歳の新たな挑戦がもうすぐ始まるが、米国から吉報が届くのは意外と早いかもしれない。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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