2024.3.28
躍動するハート 河本結-復活の春
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ヤマハレディースオープン葛城 葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)第1日
復活の足音がはっきりと、聞こえる。河本結が4アンダー、68の好スタートを切った。しかも、ノーボギーのラウンドに、「打ちたいボールがピンに絡んだ。また、パッティングもカップをかすめて、お先にパーをとった。いい内容です」と確かな手応えを感じている。
「ここまでの心境になるために、4年かかった。きょうは特に感覚とマッチしていたと思います。自信を取り戻しつつあります。何よりも、たくさんのギャラリーさんが、私のプレーを見てくださった。声援を受けて、私はまだ、ここでプレーしていいんだなぁ。そんな気分になったことが本当にうれしい」と話した。
前半、4バーディー奪取。しかし、自身が選んだハイライトは16番のパーセーブだった。グリーン手前から8ヤードのチップイン。しぶとさまで発揮した。「スイングを改造し、マネジメントまで大きく変化。ゴルフ脳までちょっと鈍っていた。スコアが伴わないからよけいですね」という。言葉にこそしなかったものの、どん底を体験。当然ながら、新しいスタイルを構築しなければならない。
というわけで、「残り距離、クラブ選択、風…すべて自分で考え、プレーを組み立てています。とにかく、ゴルフ脳を鍛え直してもいる。かといって、去年も怠けていたわけではない。全力でやってきた結果ですからね。たとえ成績が悪くても落ち込まないように、メンタルのトレーニングまで続けて行っていますよ」と、見えない変化を明かした。
前週、同じ黄金世代の臼井麗香がツアー初優勝を飾っている。親交も深い。「大変な努力をしていることを間近で知っていた。だから、神様って、ちゃんと見ているんだなぁ、と思います。オーバーな表現かもしれないけど、まるで私が優勝したような、そんな感覚です。私たち(黄金世代)もまだまだ、やれる。そんな気持ちをもらった気がします」と、言葉を選びながら、心を込めてメッセージを届けている。
この日は全身にハートをあしらったウェアを着用。コースで躍動する姿をより美しくみせた。「母からプロゴルファーは見せることも、大事な仕事、と常にいわれてきた。遠征には8パターンのウェアを持参します。事前に何を、などは決めない。起床して天気に合わせてチョイスする。ソックスは同じカラーでも、丈の違うものを各3種類、もってきます」が、こだわりだ。
「この世界、自分を強くもっている人が上へ行く」と区切り、「今、私自身をつくっている」と続けた。ハートの鼓動まで聞こえた第1日-。
(青木 政司)
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