2024.6.13
ミス・ジューンを意識 大里桃子は覚醒中
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ニチレイレディス 袖ヶ浦カンツリークラブ・新袖コース(千葉県)
大里桃子は、ステディーなプレーヤーを目指している。前週の優勝でさらにその思いが強くなった。実にほほえましく、頼もしく耳へ届く。プロはこうでなくてはいけない。「大谷(翔平)選手がミスター・ジューンといわれている。それを聞いて、私も頑張ろうと気持ちを強くもった。決して、マネをしたんじゃないと思ってくださいね」。
振り返れば、こんなことがあった。21年、パナソニックオープンレディースからスタートして、5週連続で2位以上という、史上初の快挙(JLPGAツアー制施行後)を樹立。ミス・メイの冠がついた。得意の5月は過ぎてしまったものの、密かに6月は-のプランを練っていたのだ。
「たとえ、そうなってもならなくても、とにかく全力を尽くそうと考えた」とか。そんな舞台裏があって、勝利を勝ち取った経緯があることをこの日、はじめて明かしている。
加えて、全英女子オープン出場権も獲得。早速、10日にはパスポート取得のため故郷・熊本の役所で手続きを行い、「10年有効の旅券をとった」とも話している。当然のように、これから世界挑戦が増えることを見越してのことだろう。ただし、「海外旅行にも使えるように、ですよ」と加えたものの、「地元の役場の皆さんが、笑顔で迎えてくださった」とうれしそうに語った。期待に応えなければならない。
気になるのは激戦後の調子だが、「疲れが少しある。その分は練習をセーブして調整します。調子は悪くはありません」と話した。持ち球をドローボールからフェードへ変更。安定感を増したことで、調子の波が少ない。「気持ちよくクラブを振れている。打球がすごく安定していて、ストレスがまったくない」と満面の笑みを浮かべている。
ただ、カメラのレンズを向けられると、「ちょっと待ってください」。サッとキャップなどを整えた。写真一枚に関しても、こだわりがある。「顔のやや左側から撮ってもらうことが好きなんです」という。プロフェッショナルのこだわりを、ここまで徹底している。実に気持ちがいい。切磋琢磨する黄金世代は、タレントの宝庫だ。
(青木 政司)
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