1. ホーム
  2. ニュース&トピックス
  3. 24年の苦悩が結実 鈴木佳恵-圧巻の初V

2024.6.21

24年の苦悩が結実 鈴木佳恵-圧巻の初V

<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 JLPGAレジェンズツアー2024シーズン公式戦『JLPGAレジェンズチャンピオンシップ』(シニアの部:賞金総額1500万円、優勝賞金225万円、グランドシニアの部:賞金総額200万円、優勝賞金40万円)大会最終日が6月21日、群馬県吾妻郡長野原町・軽井沢高原ゴルフ倶楽部(シニアの部:6099ヤード/パー72、グランドシニアの部:5484ヤード/パー73)で行われ、プロ24年目の鈴木佳恵がツアー初優勝を飾った。第1日から首位に立ち、通算15アンダーと6打差をつけるパーフェクトVを達成。通算9アンダー、2位は佐々木慶子、久保樹乃が通算8アンダー、3位だった。

 一方、グランドシニアの部(満60歳以上)は日吉久美子が通算4アンダーで完全優勝を成し遂げ、第1戦に続いて今季、2連勝。通算3オーバー、2位タイは乃村三枝子、島袋美幸が入った。
(天候:雨 気温:13.0℃ 風速:1.5m/s)

 鈴木佳恵のツアー初優勝。強く、気高く、そして感動的だった。プロのキャリアは、あと1年で四半世紀。そんな苦労の軌跡を労うかのように、優勝インタビューを終えると、浅間山が雄大な姿をあらわした。

 ラストスパート。より気力を注いだのは13番だった。今大会、ユーティリティーの魔術師という冠が加わったのも当然というようなスーパーショットを披露。3打のアドバンテージがあったが、安心はできない。残り158ヤードの第2打を7Uでピン20センチへ運んだ。

 「前の12番でバーディーを取った後。連続バーディーで気持ちがすごく乗ってきた」という。ただし、チャンスの後にはピンチも-は勝負にはよく起こることだ。続く、14番では4メートルのパーセーブへ直面した。しかし、全集中。「もう、そろそろ外れそう。カップへ入るわけがない」とフックラインへ挑戦した。それを、見事にカップインさせる。

 また、16番でもこんなしぶとさを発揮。ショットが乱れて、グリーン奥へこぼし、3メートルのパーパットが残る。ところが、これも決めた。同組で第1日からデッドヒートを展開した佐々木慶子が、「特に最終日は、いくらバーディーをとっても追いつけなかった」と苦笑するほどだ。とりわけ、今回はユーティリティーに限らず、グリーン上でも、マジックを何度も何度も披露した。54ホールで、ボギーが1。ステディーなプレースタイルの最高傑作をアピールする。

 飛距離を誇るタイプではない。第2日、福嶋晃子、前記した佐々木、酒井千絵と同組でプレーすると、第1打で50ヤードのハンディーを背負う。にもかかわらず、上がってみれば-なのである。「今、使っているパターは10年前のちょっと古い、オデッセイのブレードタイプ。とても、いい仕事をしてくれました」。パット・イズ・マネーを存分に示した。


<Photo:Toru Hanai/Getty Images>

 本格的にクラブを握ったのは高校2年。初めて、プロテストを受験したのは22歳だった。が、1次予選で敗退。より熱を入れ始めた。それでも、最終プロテスト合格までは長い年月がかかる。「2回目の受験から7年連続で最終まではいっても、あと一歩…。合格したのは、30歳になる直前の29歳でした」と振り返った。

 一方で、職業病ともいえる、腰の狭窄症に悩まされ続け20年3月、手術を決意する。「プレーしていて、しびれをごまかすのが大変でした」と苦笑した。不屈のゴルファーということもできるだろう。

 今回、通算15アンダーという驚異的なスコアをマークした。従来のレジェンズツアーでは16年シブヤカップ・鬼澤信子の通算14アンダーがすべてのトーナメントでレコードだったが、1ストローク更新。その問いに、「私で、いいのでしょうか」と、恐縮しながら目を丸めていた。

 もちろん、いいんです。ゴルフは生涯スポーツだから。続けて、「愛知県出身で、岐阜の学校(日本女子ゴルフ専門学校)へ行っていた。レジェンズの残り試合は3戦。その内の2戦が故郷に近い三重県と岐阜県で開催されるから、チャンスが来たら優勝を狙います」と加えた。

 努力は報われる。24年のキャリアが証明した今大会だった。

このニュースをシェアする

記事検索記事検索ARCHIVE

search検索