2024.9.13
「あと11試合しかない」山下美夢有 今季初Vへチャージ
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
第55回住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)第1日
焦りが全くない、と言ったら嘘になるのかもしれない。山下美夢有は「あっという間でした。(今大会を含めて今季は)あと11試合しかない。普段通り、ここからしっかり頑張りたいです」と力を込めた。
昨年まで2年連続年間女王。今季は2位が6試合(タイを含む)もあり、メルセデス・ランキングでは竹田麗央に次ぐ2位につけている。6月の全米女子プロゴルフ選手権で2位に入り、パリ五輪でも4位入賞を果たした。文句の付けようのない成績だが、昨年5回に上った「優勝」だけが、今季はいまだ手に入らない。
この日は、今季課題としてきたパッティングが冴えた。10番で1メートルのバーディーパットを決めると、11番では6メートル、12番では9メートルを沈め、3連続。締めの18番でも、10メートルの上りフックラインを読み切り、ねじ込んで見せた。「少し強すぎて、カップをくるんと回って外れてしまったのも2回ありました。長いのを含めて、パッティングがよく入ってくれたと思います」とうなずいた。
ただ、「ショットもリズムはだいぶ良くなってきていると思いますが、当たった時の音がしっくりこなかったりして、あまりいいとは言えないです」。7バーディー・ノーボギーで回った選手とは思えないほど、表情は浮かない。満足できるハードルが高いのは、超一流の証しだろう。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
微に入り細を穿つ姿勢は、練習の段階から徹底している。たとえば、計測器「トラックマン」を試合会場の練習場に持ち込み、初速や飛距離、ヘッドスピード、入射角、フェースの向きなどを細かくチェックするようになったのは、JLPGAでは山下が最も早い方だった。父でコーチの勝臣さんは「美夢有は最初の頃、自分だけがトラックマンを持ち込むのを『恥ずかしい』と嫌がっていましたが、今では数多くの選手が導入していますよね」と笑う。
ここに至っても、闇雲に優勝を狙うのではなく、あくまで自分が満足できるスイング、打感を追求している。真摯な姿勢は変わらない。日本のトップに駆け上ることができた理由が、そこにある。
(宮脇 廣久)
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