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2015.8.9

〝夢のような一週間〟堂々完結 西山ゆかりは新たな戦いへ

<写真:Atsushi Tomura/Getty Images>

 2015年LPGAツアー第21戦『
meiji カップ』(賞金総額9,000万円、優勝賞金1,620万円)の大会最終日が、8月9日、北海道北広島市の札幌国際カントリークラブ島松コース(6,500ヤード/パー72)で行われた。勝負は通算8アンダーで並んだ鈴木愛と西山ゆかりのプレーオフへ。2ホール目でバーディーを奪った西山ゆかりが、嬉しいツアー初優勝を飾った。1打差の通算7アンダー3位タイに、イボミ(韓国)、フォンシャンシャン(中国)、6アンダー5位にディフェンディングチャンピオンの申ジエ(韓国)が入った。(天候:曇り、気温: 23.1℃、風速:4.2メートル)

 この日、大勝負に挑む西山ゆかりに、師匠の芹澤信雄は魔法をかけた。朝食がノドを通らないほど、緊張している弟子は「芹澤プロ、夢の中にいるみたいです」と、スタート前から落ち着かない。「それなら夢の中にいる気分でやれ」と師匠が魔法をかけると、その効果はてきめんだ。過去2回経験している最終日最終組は、苦い思い出となっているが、この日は世界ランキング8位のフォンシャンシャンを向こうに回し、まさにがっぷり四つ。先手を奪いつづけ、前半は4バーディー、ノーボギーの完璧なゴルフで後半に折り返す。昨日「ワタワタしちゃいました」と語ったバックナインでもその効果は切れない。17番パー3で、この日はじめてのボギーを叩くが、結局同組の相手に、スコアで並ばれることは一度もなく、見事18ホールのプレーを終えたのだ。しかし師弟の誤算は、8アンダーで待ち構える相手が先にいたことか。勝負は初体験のプレーオフに持ち越された。

 「持ち味である笑顔で18ホール回らせたい。それが私の課題」。昨日、抱負をこう語っていた師匠は、プレーオフに入った時に、自分の役目は終わったと感じていた。「僕の任務は2位でいいと思っていた。2位に入ればシードをとれていたので」。しかし魔法の効果は、プレーオフに入っていても切れていなかった。ピンポジションが、フロントエッジから18ヤードの位置に切りかえられたプレーオフ2ホール目の数字を見て、「縁起のいい数字だ。これはもしかして」と西山は思ったという。両親が営む寿司屋の名前が「いっぱち竹寿し」だからだ。その両親が、今週は店を休みにして北海道に応援に来てくれている。勝ちたい気持ちを抑えられない弟子は、バーディーパットを目の前にして、最後の助言を求めた。「芹澤プロ、勝ちたいです」。師匠はこの言葉にとっておきの魔法をかける。一言「勝てよ!」と。西山のパターから放たれたボールは、キレイにスライスラインを描いてカップに吸い込まれ、56ホールの二人三脚は最高の形で幕を閉じた。

 優勝会見で、西山は「まだ実感がわきません。夢の中にいるみたいです」と、率直な気持ちを語った。どうやら朝にかけられた魔法は、まだ効果が続いているらしい。しかしその効き目が薄れるにつれ、喜びがおしよせてくることだろう。そしてそれは同時に、2勝目を目指す戦いへのシグナルともなる。師匠との二人三脚ではなく、自分の力での2勝目へ。〝夢の一週間〟を、このまま夢で終わらせるわけにはいかない。「来週からが本当の戦いだと思います」。西山ゆかり、第二章の幕開けだ。





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