2021.4.4
4月4日の通算4勝目 稲見、鮮やかな逆転V
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGA ツアー2020-21シーズン第19戦『ヤマハレディースオープン葛城』(賞金総額1億円、優勝賞金 1,800万円)大会第3日が4月4日、静岡県・葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(6,564Yards/Par72)で行われ、稲見萌寧が通算12アンダーで逆転優勝。ツアー通算4勝目、シーズン3勝目を飾った。首位スタートの山下美夢有は通算11アンダー。1打及ばず、2位に終わった。3位は高橋彩華。(天候:曇り 気温:18.7℃ 風速:1.1m/s)
それはもう、逆転Vのテキストをみるかのようだった。稲見萌寧のサンデーバックナインはスキがない。冷静沈着なプレーで首位へ駆け上がった。ところが、戦況を把握していたわけではない。
18番、ピン右奥5メートルのバーディーパットは、「フェースに軽くさわるだけの下りフックラインでした。もし、少しでも強く入ったらパーセーブも危なかったかもしれません」と説明した。しかし、きっちりと決め、右手で何度もガッツポーズをつくってみせる。そうはいっても、この時点で優勝が確定したわけではない。
最終組の結果しだい。プレーオフを想定しながら、勝負を見守っていた。「心臓の鼓動が聞こえて、バクバクの状態。でも、プレーオフになれば私は絶対に負けない。そんな強い気持ちがわいてきた」そうだ。そして、少しの時間を経て、山下の18番、バーディーパットが外れ、1打差の優勝が決まった。
決勝ラウンドの2日間、ともにボギーフリーの66をマークする。この日は、前半の4番でバーディーがひとつだけ。「後半のスタートの前、気合を入れ直した。ちょっと、これまで後半が悪かったから。中途半端の状況ではダメです。追い込まれたら強い。そう、思い込んでいる」という。さっそく、10番で左奥7メートルから炎のバーディー奪取。「いい流れをひきよせることができた」と振り返っている。
最終日、首位と3打差でスタート。超攻撃的なプレーを展開したことも、これまでとは違ってみえた。「今年の明治安田生命レディスは、単独トップでした。だから、守らなければいけない気持ちが、あったのでしょうね。弱気だった感じがします。私は、どちらかといえば、スコアを追いかける方がプレーをしやすい。ただ、今年の2勝、どちらも私らしい優勝だと思います」。
インタビューを聞いていると、強気の言葉が端々で出てくるが、「メンタルが強くはない。やらなければならない状況になると、力が出る」と話す。2019年JLPGAアワードで新人賞を獲得しているが、決して順風満帆ではなかった。18年最終プロテストで合格したが、サードQTで失敗。すぐさまスイング改造へ着手した。
連日10時間にも及ぶ猛特訓の日々。19年はQTランキング103位から主催者推薦で出場した試合を含み、7試合でチャンスをつかんだ。リランキングでジャンプアップし、JLPGAツアー初優勝を飾っている。
「うまくなりたい。その一心で取り組んできたから、とても楽しい」といい、「それがいつの間にかルーティンになってしまった。優勝しても、変わりません。あしたもまた、トレーニングを行ってから練習です」。ひたむきな努力の積み重ねが、スーパープレーを量産したといえるだろう。
鮮やかな通算4勝目は、4月4日。奇しくも4が並んだ、幸せの日である。
(メディア管理部・中山 亜子)
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