2022.4.17
植竹希望 ロングランでナイスウイン
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2022シーズン第7戦『KKT杯バンテリンレディスオープン』(賞金総額1億円、優勝賞金1800万円)大会最終日が4月17日、熊本県・熊本空港カントリークラブ(6499ヤード/パー72)で行われ、植竹希望が大混戦を制し、JLPGAツアー初優勝を飾った。勝負は通算8アンダーで並んだ吉田優利、小倉彩愛、植竹希望、西村優菜の4人プレーオフへ。サドンデス方式のPO6ホール目で120分の激戦に終止符を打った。
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《グリーン=スティンプ:10 1/2フィート コンパクション:23mm》
長い、長い最終日だった。18ホールのプレー、4時間49分に加え、後世まで語り伝えられるような計6ホール、120分のプレーオフを経て、うれしいJLPGAツアー初優勝を手中に。
そして、表彰式のセレモニーもある。しかし、優勝会見へ臨んだ植竹希望は、たったひとことも「疲れた」とはいわなかった。これぞ、プロの鑑。最初に口にしたのは、「通算2勝目が一番難しいといわれていますね。次は、もっといいところを見せたい。1勝で終わったなんていわれたくありません」だった。
続いて、「ここまで長かったです。ずっと勝てなかった。きょう、優勝したらギャラリースタンドで母が目頭をハンカチで押さえていました。やっぱり、優勝の最終日、バック9はノーボギーがいい。ずっと待たせてしまいましたから…」。どんな時でも前向きだ。そんな姿勢がプレーを支えた。
18番を繰り返し使った、サドンデスのプレーオフ6ホール目。右手前バンカーから、ピン横2メートルのバーディーチャンスにつけた。ストレートラインをきっちり沈めて、バーディー奪取。熱戦にピリオドを打つ。初めて、マスクを外したのは、「花粉症がつらかったけど、素顔をみせて、写真をとってほしかった。記念ですからね。それにしても、ウイニングパットって、最高に気持ちがいいです」と笑顔で話した。
この日、何度も何度も自身へ言い聞かせたのは、森口祐子から届いたメッセージ。「人のゴルフは変えられない。自分のことだけをしっかりやりなさい」だ。20年NEC軽井沢の練習ラウンドで、コースチェックをしていた森口から、「アイアンショットのスイングが素晴らしい」と声をかけられ、親交が続いているそうだ。
勝負は時の運。とはいえ、ベストを尽くせばチャンスがある。特に、プレーオフでは、「森口さんから頂戴したメールで集中できました。相手よりも、もうやるしかない。あの森口さんでさえ、初優勝するまでたくさん、たくさん悔しい思いをしてきたそうですから」。勝者はひとりなのだ。
一方、今大会で活躍したクラブを「パター」と即答。意外な舞台裏を明かした。「実は、前週からパッティングのルーティンを変え、感覚重視に」と前置きし、「実はテレビ視聴者の方から、時間をかけすぎる、プレーが遅い-などの書き込みを妹がみつけて…。事実ですから、改善していかないといけません。意識をしました。そのせいか、スムーズになったなぁと感じます。感覚を大切にすることで、入るなぁ-という予感が増した。優勝につながったと思います」。
さらには、プロになる前、なってからの苦労話までも振り返った。「両親が離婚して、ゴルフが続けられなくなるぐらい、経済状態が悪くなりました。でも、母がダブルワークで、何とかする-と続けさせてもらえて…。たくさん、けんかをして、反抗もしましたけど、ずっと応援してくれた。この世で一番尊敬する人です」と、この時ばかりは涙を浮かべ、言葉をつまらせながら感謝を述べている。
そして、自身も、「高校時代、コースで窓口業務、キャディーのアルバイトなどをしてきた。最終プロテストに合格した後も、ラウンドレッスンなどのバイトです。そういえば、コロナ禍で試合がなかった時、キャディーとレッスンのアルバイトもしたなぁ」という。すべてが報われたのだ。
黄金世代10人目のツアー優勝者は、プレーも人生もドラマチック。「人間、いつ死ぬかわからない。後悔をしないように、なるべく全試合へ出ます。それから、海外のツアーへもチャレンジしたい」と真顔でいう。希望と記して、のぞみと読む。まさに、名は体を表す。スターがまたひとり-。
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