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2022.5.22

Day 4 ~ プラスワン 宇宙と勝率7割5分のボール

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

ブリヂストンレディスオープン 袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)最終日

 最終日、五月晴れの空がまぶしい。トーナメント会場はブリヂストンの「B」のロゴ、コーポレートカラーの白を基調にしたモダンなデザインがより一層、映えた。1983年の第1回から積み重ね、今年が第39回の歴史がある。

 トーナメントプロデューサー(TP)をつとめる、(株)ブリヂストン、宣伝・イベント推進部の中原啓成さんは、「10年後、20年後もゴルフのわくわくを提供しつづける-がコンセプトです」と前置きした。そして、「昨今は、SDGsが大前提です。未来のことは、誰にもわからないけど、持続可能な大会を目指している」。ペットボトルのキャップを再利用したボールマーカーから、場内のごみ箱にはSDGs、17の目標のひとつ、12のつくる責任 つかう責任のパネルが当然のように貼られた。


<(株)ブリヂストン 宣伝・イベント推進部 中原啓成氏>

 さながら、新時代のトーナメント。とりわけ、ブリヂストンパークへ展示された月面探査車用タイヤには、目を見張った。19年からJAXA(宇宙航空研究開発機構)、トヨタ自動車と共に国際宇宙探査ミッションに参加して取り組んできた。月面の環境は過酷。マイナス170~120度と温度差が激しい。しかも高エネルギーの放射線が降り注いでおり、ゴムが素材では耐えられない。タイヤは金属。接地面は砂漠の生き物、ラクダの足裏からヒントを得たそうだ。


<月面探査車用タイヤ>

 この日、最もワクワクしたのは優勝した西郷真央だった。新調されたトロフィーを高々と掲げ、満面に笑みが広がる。ゴルフボールを基調にした、インパクト絶大の勝者の証。「数あるギアの中から、ボールを選んだ。ゴルフだから一目瞭然。しかも、弊社が自信をもっている商品です。創業以来、社をあげて円の美学を大事にしてきた。タイヤも円、ボールも円ですからね」(中原TP)

 今シーズンのJLPGAツアーは12戦を消化した。その内、9戦でブリヂストン製ボールの契約選手が優勝を飾っている。創業当時から、創設者の石橋正二郎がゴルフは将来、日本はもちろん、世界へも普及すると考え、タイヤと並行してボールの開発にも1932年から本格的に取り組んだ。

 「タイヤ開発には、接地の科学がある。タイヤの接地面は、手のひら1つ分。そこに安心と安全がかかっています。文字通り、つくる方も命がけ。培った技術は、クラブがボールへ当たる、一瞬に生かされている」(中原TP)

 クラブとの接触時間はわずか1/2000秒。16番、西郷真央はバンカーからチップインを決めた究極のイーグルは、ブリヂストンの技術と自身のメンタル、テクニックが融合した結晶だった。ちなみに、ボールの直径は42.67mm。

 使用球は3つの素材で形成されている。第1層(コア)=合成ゴム・第2層=アイオノマー樹脂・第3層=ウレタン樹脂。最高品質と最高性能を目指しながら、技術の粋を集結させている。「ボールひとつの中に、数多くの特許がつめこまれています。ひとつだけ明かすと、コアがすごい。硬さを自在に操ることができる」(ブリヂストンスポーツ ブランド・ファンコミュニケーション本部・浦邉敏彦さん)

 国産ボール第1号は1935年に登場した。当時は1球1円。現在の貨幣価値に換算すると、1600円にもなる高額商品だった。それが令和の今、1球は約500円になったが、90年間の進化の過程が凝縮。プロだけではなく、一般のゴルファーにも飛んで、止まるという奇跡の源を提供している。

 「飛びの3要素は初速、バックスピン量、・打ち出し角度のバランス。打ち出し角度は13-15度前後、バックスピン量は2000-2500回転/分が最良の弾道を生む。トッププロは、この範囲で見事に収まっています。アマチュアの皆さんも、スイングデータを計測。最適な数値の中に収まるボールを選ぶことで、一気にスコアがよくなるかもしれません」(同・浦邉さん)


<ブリヂストンスポーツ(株)
ブランド・ファンコミュニケーション事業本部 浦邉敏彦氏>

 月へ行くタイヤ。カップへ吸い込まれるボールがつながった。十分すぎるぐらい、わくわくを実感した4日間-。

(メディア管理部・中山 亜子)

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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