2023.4.21
“オンリーワン” の後藤未有が狙う “ナンバーワン”
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2023シーズン第8戦『41st フジサンケイレディスクラシック』(賞金総額8,000万円/優勝賞金1,440万円)が4月21日、静岡県伊東市・川奈ホテルゴルフコース富士コース(6,457ヤード/パー71)で開幕した。大会第1日は4アンダーの首位に後藤未有と仁井優花が並ぶ。1打差の3位タイグループには川岸史果、神谷そら、荒川怜郁の3人。さらに1打遅れての6位タイグループには安田祐香、上田桃子、岩井千怜、佐藤心結、権藤可恋の5人がつけている。
(天候:晴れ 気温:23.8℃ 風速:2.7m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:24mm》
今からちょうど20年前に発売されたSMAPの名曲「世界に一つだけの花」のフレーズがふと過る。「ナンバーワンにならなくてもいい。元々特別なオンリーワン」を実践する後藤未有がスコアボードを駆け上がったからだ。プロ3年目の22歳で、古江彩佳や吉田優利、西村優菜らと同世代でもある。アマチュア時代に日本女子オープンのローアマに輝き、ナショナルチームのメンバーとしても活躍したが、昨年のメルセデスランキングで37位に入り、ようやく今季のシード権を手にした。
後藤がオンリーワンの理由は2つ。一つがクラブを10本の指で握るベースボールグリップを実践していること。もう一つはパッティングで“ライジングパット”と呼ぶ独特な打ち方をしていることだ。「アマチュア時代は、その握りや打ち方ではプロになれない、活躍できないと言われましたが、ゴルフを始めたときから続けていることなので、変えることができないし、変える気もありません」と言い切る。
ライジングパットとは彼女の師匠である篠塚武久氏が名付けたものだが、耳にしたことがない人も多いのではないか。後藤によると、「ボールに順回転を与えるため、転がりがよくなる」のだという。アドレスではラインをしっかり両目で見るために、体のラインを全てオープンに構える。テークバックでヘッドを真っ直ぐ引いたら、真っ直ぐヘッドを出してインパクト。フォローでは左肘を斜め上に上げることでヘッドを上昇させていく打ち方だ。
カップインする、しないは別にして、後藤はゴルフを始めた幼少時代からこの打ち方を続けている。それが6つのバーディーを奪い、67をマークするのだから面白い。「コウライグリーンなので、ボールの回転がきれいになるように意識しました」。特に、10番パー4ではグリーン手前のエッジから、11番パー3ではピン右10メートルから捻じ込んだ。
「ただ、2番パー4と12番パー5のボギーはどちらも3パットなので、もったいないですよね。バーディチャンスも他にあったし、7、8アンダーは行けたはずです」と、悔しそうな表情を見せる。
プロになった当初は、早い時期から活躍していた同世代に追いつくためにも、オーバーワーク気味の練習を自らに課していた。しかし、結果につながらないばかりか、腰痛もひどくなったため、昨年のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントから方向転換。あえて練習しない日をつくり、友人や家族と食事をするなどして、頭の中からゴルフを取り除くと9位タイに入る。
「体がきつくなりませんし、心もリセットできました。それが意外といいんだと思い、今でも続けています」と、ようやく自分に合うルーティーンを見つけることができた。
大会第1日は首位タイと好スタートを切った後藤だが、狙うは優勝のみ。オンリーワンの後藤が、今回は積極的にナンバーワンを狙っていく。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
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