ウー チャイェン独走で来日初V『ゾーンへ入った』

＜Photo：Toru Hanai/Getty Images＞

　JLPGAステップ・アップ・ツアー2023シーズン第10戦『ユピテル・静岡新聞 SBS レディース』（賞金総額2000万円、優勝賞金360万円）大会最終日が6月18日、静岡県御前崎市・静岡カントリー浜岡コース（6514ヤード/パー72）で行われ、ルーキーのウー チャイェンが通算10アンダーでステップ・アップ・ツアー初優勝を飾った。2位タイは通算5アンダーで一ノ瀬優希、沖せいらが入った。
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　孝行娘は、山下美夢有だけではない。台湾出身のウー チャイェンがこの日、念願の来日初優勝を飾った。「本当にうれしい。でも、ちょっと悔しい気持ちもある。18番のバーディーパットを決め、格好よく終わりたかった。100点をつけたかったけど、きょうはショートパットのミスもある。85点です」。

　勝利に満足するわけにはいかない。あくまでも、プレーの質が問題だ。2位に5打差をつける圧勝とはいうものの、この1カ月間は勝負の厳しさ、JLPGAツアーのレベルの高さを思い知らされた。ここ4戦の成績は前週が5位。そして、それ以前の3試合はすべて2位だった。

　「調子は変わらず良かった。きょうは、自分を信じてプレー。朝の練習から手応えがあったからです」という。スタートの1番。残り110ヤードの第2打を、54度で2メートルにつけるバーディーチャンスをしっかりと決めた。

　そして、自身が「きょうのハイライト」にあげた2番。左バンカーから残り140ヤードの第2打を7Iで、あわやカップインのシーンを演出した。30センチを楽々と決め、連続バーディー。完全独走の流れを引き寄せている。

　「勝ちきれない要因は、最終日がいまひとつだから。首位スタートのきょうは絶対に負けたくない。自分に勝つ。相手のことよりも、私との勝負に徹した。おかげで久々にゾーンへ入った－そんな感じを体感することができたことが本当にうれしい」。5バーディー、ノーボギーの内容は明るい将来を告げている。

＜Photo：Toru Hanai/Getty Images＞

　昨年の最終プロテストで一発合格を果たした19歳。台湾ツアーで昨年、優勝の実績がある。指導をうけているのは涂阿玉。しかし、帯同はせず来日後は父がコーチ。「たとえば、試合が終わると、VTRを見ながら何が良くて、どこがダメだったかを話し合う。きょうは、日本の自宅にいたけど、きっと喜んでいるでしょう。本当にいつもありがとう。父の日に勝てたことが心からうれしいです」。

　また、声援を受けた多くのギャラリーへ、感謝の言葉を添える。「バーディーをとると、すごい拍手をしてくださる。おかげで気持ちが乗って、もっと皆さんへいいプレーをご覧いただきたいと、自分自身へ活を入れた。ありがとうございます」と、満面の笑みをたたえた。

　まずは、名刺代わりの日本初V。スターの輝きがあった。

＜Photo：Toru Hanai/Getty Images＞