2024.1.23
JLPGA新しいヒロイン《96期生・中野 恵里花》
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
なかの・えりか=2000年1月25日、京都府宇治市出身
9歳からゴルフを始め、11歳でLPGA全日本小学生ゴルフトーナメントを制した中野恵里花。当然のように将来はツアープロになることを目標とした。その後も14歳ながら関西女子アマで2位に入るなど非凡なところを見せ、高校は強豪校に進学すると思いきや、地元の龍谷大平安高校を選択。同校ゴルフ部といえば、かつては全国高校ゴルフ選手権で3度の優勝を誇り、国内男子ツアーで6勝を挙げた平塚哲二を輩出した名門だ。しかし、男女共学になったと同時にゴルフ部が廃部となり、中野が入学したときにはゴルフ同好会しかなかったという。にもかかわらず、同校を選んだのは、見学したときに感じた学校全体の雰囲気が良かったからだった。
「ゴルフに関しては、地元に練習させていただけるゴルフ場や練習場があったし、小学生から師事している花ヶ崎光広コーチや母親にスイングを見てもらう環境を変えたくなかったので、特に問題はありませんでした」。ゴルフ同好会に入り、日本ジュニアや全国高校選手権など個人戦に出場。優勝こそないものの、国体の個人戦では6位タイに入っている。
高校を卒業した18年にプロテストを受けて不合格になったものの、ファイナルQTで64位に。19年はJLPGAツアー4試合、ステップ・アップ・ツアー17試合に出場した。ある程度順調にゴルフ人生を歩んでいた中野だが、どうしても越えることができなかったのが、プロテストの壁だった。「5回連続で失敗しましたが、アイアンショットに不安があり、普通にプレーできなかったのが原因だと思います」。そこを反省し、アイアンショットを徹底的に練習したことで、6度目のプロテストは自信を持って迎えることができた。
「第2日に74を叩きましたが、焦りはなかったです。メンタルが安定して4日間戦えました」。第3日を終えた時点では37位タイだったが、精神的に余裕があったこともあり、最終日は68をマーク。19位タイで見事合格を果たした。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
遠回りしたからこそ、ここからは最短距離で上を目指したい。「今年の目標はステップ・アップ・ツアーの賞金女王です」。その先には19年に一度も予選通過できなかったJLPGAツアーでの優勝を見据えている。「このオフは自分の引き出しを増やすことが課題です。アイアンショットもドロー、フェードは打ち分けられますが、ツアーはグリーンが硬いので、高低も打ち分けたいです」。状況に応じて臨機応変に対応できるようにするために、ショットに限らず、アプローチのバリエーションも増やしたいという。京都の冬は足の感覚がなくなるほど寒いらしいが、毎日7-8時間の練習を続け、技に磨きをかけている。
「将来は申ジエさんのように常に上位にいるような選手になりたいです」。19年のアース・モンダミンカップでは申と予選2日間を同組でラウンドしたが、ドライバーからパッティングまでスキのない技術の高さに衝撃を受けた。中野が自分の引き出しを増やしたいと強く思うのも、申のプレーが脳裏に焼きついているからでもある。
タイプとしては爆発力のあるゴルフをするよりも、耐えるゴルフが得意で、我慢強いプレーをギャラリーには注目してほしいという。「できれば、日本女子オープンに勝ちたいですね」と夢は大きい。ちなみに、昨年の同大会では原英莉花と菊地絵理香の2人が優勝争いを演じた。期せずして『エリカ対決』となったが、『恵里花』の名前もいつの日かリーダーボードの一番上に掲げることを目指していく。
(JLPGAオフィシャルライター・山西 英希)
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