2024.8.11
河本結に満足感ナシ、5年ぶりのツアー2勝目は通過点
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第22戦『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』(賞金総額1億円/優勝賞金1,800万円)大会最終日が8月11日、長野県軽井沢町・軽井沢72ゴルフ北コース(6,685ヤード/パー72)で行われ、河本 結が通算11アンダーで今季初優勝、ツアー通算2勝目を飾った。1打差の通算10アンダー、2位に堀琴音、政田夢乃、小祝さくらの3人が入った。
(天候:晴れ 気温:27.0℃ 風速:3.0m/s)
《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:21~22mm》
前週の北海道meijiカップでは、最終日に66をマークするも、優勝した竹田麗央に1打及ばぬ2位に終わった河本結。今週は最終日をノーバーディー、1ボギーの73とスコアを崩したにもかかわらず、優勝を手にすることができた。
ただ、河本の中には最終日にしっかりスコアを伸ばし切って優勝という理想があるだけに、今一つ納得のいかない勝利ではあったようだ。「最終18番ホールもラインを読み間違えて外してしまったし、バーディーを1個も取れなかったのはメッチャ悔しいです」。しかし、いくつ叩こうが、最終的にスコアボードの一番上に名前を刻んだことに意義がある。実際、第1日、第2日は十分満足のいくゴルフ内容だったし、見事な優勝だったといえるだろう。
18年にプロテストに合格し、ステップ・アップ・ツアーで4勝を挙げて賞金女王に。翌19年はアクサレディス in 宮崎でJLPGAツアー初優勝を飾った河本。20年は米女子ツアーに挑戦したが、途中で断念して帰国。その後も思うような結果を残せず苦しいゴルフが続いた。昨年もメルセデス・ランキング85位に終わったが、今季は優勝こそないものの、トップ10回数で1位となり、メルセデス・ランキングでも上位につけていた。果たして一体何が変わったのだろうか。
<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>
「ゴルフに向き合う時間と量です」。そのきっかけとなったのは、母親のひと言だった。QTファイナルステージを終え、帰路につく車の中だった。「こんなに辛い時に何もしてあげられなくてごめんね」と、大号泣したという。その姿を見て、自分のゴルフに対する向き合い方が甘かったなと心底感じた。そして、今年が自分にとっての勝負の年だと強く思ったという。
昨年まではコーチにスイングを見てもらっていたが、シーズンオフからはすべてを自分で行うようにした。「自分でスイングを考え、練習法を見つけ、何が足りないのか、コンディションはどうか、人に頼るのではなく、自分で判断できるようになりました」。今大会を含め、今季からマネージャーを務める緑川ミレイ氏にキャディを頼む回数が増えたが、それもベテランキャディに頼るのではなく、グリーン上やクラブ選択で迷ったときなど、全て自分で判断したい気持ちがあるからだ。
河本自身は生活の100パーセントをゴルフに捧げ、24時間ゴルフのことを考えると語っていたが、それだけストイックに過ごしているからこそ、『勝ちたい』ではなく、『勝つよね』という自信があったという。
5年4カ月ぶりの優勝を達成した河本だが、笑顔を見せたのは黄金世代によるJLPGAツアー50勝目になった話を聞いた瞬間だけだった。この勝利が単なる通過点であり、ゴールはないからだ。「米ツアーに再挑戦したい気持ちもありますし、メジャーにも勝ちたいです。4年後のオリンピックにも出場できればと思います」。一度地獄を見てきた者は強い。河本の逆襲はまだまだこれからだ。
(山西 英希)
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