2024.9.25
大会連覇を目指す原英莉花が唱えるプラス50点のゴルフ
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
日本女子オープンゴルフ選手権 大利根カントリークラブ 西コース(茨城県)
昨年、今大会の前週を終えた時点ではメルセデス・ランキング50位に甘んじていた原英莉花。ところが、第3日に首位に立つと、最終日は菊地絵理香とのデッドヒートを制し、通算15アンダーで優勝を飾った。
「この大会はジュニア時代から憧れた舞台ですが、今でも気が引き締まるというか、たとえそれまでの成績が良くなくても、結果を出したいとか気持が前のめりになります」。原にとっては目に見えないプラスαの力を引き出してくれるのが今大会なのだろう。
今年は昨年よりも上位のメルセデス・ランキング24位で今大会に望むが、決して納得のいく内容ではないという。「リアルな点数をつけるなら30点ぐらいです」。その理由は、逆球が出るからだ。本来の球筋は右に曲がるフェードボールだが、ユーティリティーと5番アイアン以外のクラブで打つと、左へ曲がってしまうという。左サイドを狙ったボールが、左へ曲がればスコアメイクにはならない。むしろそんな状態で今の位置にいることのほうがすごいのかもしれない。
「自分をだますわけではありませんが、今の状態に50点ぐらい上乗せして、80点の気持ちで今週は戦いたいです」。どちらかといえば、クールさよりも気持ちを前面に出して戦うファイタータイプだけに、その気持ちを奮い立たせてくれる今大会は、現在の原にとってはまさに願ったりのタイミングで訪れたわけだ。
もちろん、気持ちだけでカバーできるほど甘いコースセッティングではない。指定練習日となったこの日はキーホールだと考える17、18番ホールに絞ってラフの長さやコースの攻め方をチェック。練習場ではドライバーを中心にイメージどおりのボールを打つ練習を繰り返していた。見た目には、弾道がきれいなハイフェードボールを打っていたが、いざ試合になれば同じ球を打てるとは限らない。それでも、好スコアを出せる可能性がある限り、攻めの姿勢を崩すつもりはない。
「このコースは距離が長い分、第2打で持つクラブがミドルアイアン、ロングアイアンになるので、フェアウェイキープがマストになりますね」。フェアウェイをとらえることさえできれば、飛距離の出る原なら他の選手よりも短めのクラブでグリーンを狙うことも可能だ。あとは、どれだけ強い気持ちを出していけるか。大会連覇は21、22年の勝みなみ以来となるが、98年世代の優勝は19年の畑岡から5年間続いている。新たな記録を生み出すためにも、原の変身ぶりに注目が集まる。
(山西 英希)
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