2025.3.31
3日開幕 ヤマハレディースオープン葛城
2025.3.30
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2025シーズン第3戦『アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 2025』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が3月30日、宮崎県・宮崎市・UMKカントリークラブ(6,538ヤード/パー72)で行われ、プロ15年目の工藤遥加が通算10アンダーでツアー初V。この日は1打差を追いかけ、3位タイからスタート。5バーディー、ノーボギーの67で逆転優勝を飾った。プロ転向後、4991日の初優勝はツアー制施行後のJLPGA入会者として、史上2位のスロー記録。2位は通算8アンダー、小祝さくらが入った。
15年のキャリアは、この日のためにあった。工藤遥加、パー5の最終18番。第3打はピン1.8メートルに運んだ。冷静沈着。ウイニングパットをあっさりと沈めた。
JLPGAツアー初優勝。プロ転向から4991日が経っていた。「最終日、よく耐えた。ボギーなしって、エラいと思う」。今大会、推薦出場が決定したのは開幕4日前だった。「本当にスポンサーさんはありがたいです。ひとりでは勝てない。私を強くしてくださった人たちに感謝します」。
最終組のひと組前でプレーした。貴重な経験を振り返る。「地元の選手が活躍していたから、きょうはギャラリーの皆さんがたくさん…。でも、私を目当てにした方たちではなかった。だけど、プレーが進むたびに私の声援が多くなって…。最終的に皆さん、私の応援をしてくださった」という。これが、プロフェッショナル、見るものを虜にしてしまう勝者の吸引力だ。
その上で、今大会、最も印象にプレーを、「第2日の後半です。12番から3連続ボギーを叩いたけど、16番から3連続バーディーで取り返した。それが良かったと思います」と、胸を張って答えた。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
2011年7月の最終プロテストで一発合格。当時から西武、ダイエー、ソフトバンク、巨人、横浜で選手、監督として大活躍した工藤公康氏の長女として、クローズアップされることが多かった。大器をして名を馳せても、ツアーVには手が届かない。
大きな転機は22年12月、ビッグカメラ女子ソフトボール高崎で活躍する投手、藤田倭にSNSのDMで直接、連絡を取り練習に参加。「失敗することは格好悪くない。挑戦しないことが格好悪いことだ-プロ精神を叩き込まれ、目が覚めました」と語った。
一方、とっておきのエピソードを加える。「宮崎に来る前、母から父が監督をやめた時に紙に記した、これからの目標を改めて見せてくれました。そこには遥加を優勝させたい-と書いてあった」と、涙を浮かべた。通算267試合目で到達した初優勝を、「両親の愛は素晴らしい。父は48歳で引退。私は50歳になってもJLPGAツアーでプレーします。年齢は関係ない。頑張っている人が勝ちますよ」。真顔で宣言した。まさに、両親から注がれ、受け継いだ工藤家、愛のDNAである。