2025.6.21
竹田麗央が2位で決勝ラウンドへ
2017.10.19
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
NOBUTA GROUP マスターズGCレディース マスターズゴルフ倶楽部(兵庫県)1日目
感服を通り越して、敬服である。いまさらながら、プロフェッショナルの心意気に打たれた。「たくさんの笑顔を届けたい」と、ホステスプロの矜持を語ったイボミ。それだけにはとどまらなかった。前後にハートをあしらったウェア。さらに、両耳には、ファンからプレゼントされたというピアスをつけ、大会1日目のスタートホールに立った。決して、本調子といえない状況でも、応援するファンへ感謝のメッセージを伝えるためだ。
「私が、ボギーを叩く。その瞬間、グリーンを取り囲んだギャラリーの皆さんから大きなため息が聞こえる。これまで、それを聞くと、とてもすまないことをした。自分が落ち込んでしまっていたように思う。たとえ、ボギーを打っても、まだ次がある。しっかりと気持ちを切り替えたい。きょうは、ボギーの後、新しいボールに替えて、しっかりと気分をリセットした」。
インスタートのこの日は、15番でバーディーが先行して、いい流れをつくった。しかし、18番でボギーを…。ハーフターンで、ボールをギャラリーにサッと手渡してしまった。自身初の試みだ。後半はノーボギーだった。イの生命線は、バーディー奪取よりも、ボギーを叩かない我慢のスタイル。ジワリジワリと好調時のフィーリングを取り戻しつつある。
プロアマ大会で、巨人前監督・原辰徳氏へ、どうすれば今の状況を乗り越えられるか-と質問をして、「練習しかない」と教えを受けた。翌日には、一心不乱にクラブを振り続け、また、報道陣との雑談で、「もっと、うれしそうに笑った方がいい」と何気ない会話を交わすと、その晩、ベッドの中で、「何度も笑う練習をしました」と打ち明ける。
イチローはかつて、「一流のメジャーリーガーは、自分がすごい、と認めたら、2,500本ヒットを打っている選手でも、聞きにくる。それが偉大ですね」。つまり、どれほど実績があろうと、謙虚で誰の話でも耳を傾けることの重要性をさりげなく語っている。イも同様で、雑談とはいえ、自分がハッと感じることがあれば、すぐに取り入れてしまう即実行の姿勢が素晴らしい。
使用するボールには、名前と真っ赤なハートがプリントされていた。そして、バーディー奪取の際、披露したスマイルも極上だ。優勝を飾れば、日本ツアー参戦7年目にして生涯賞金獲得額が、史上8人目の8億円を突破する。ハートに込められた決意。さりげない行動の数々に感動させられた。