2019.5.11
視界がワイド 渋野日向子、首位浮上
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
2019年LPGAツアー公式戦の第1戦『ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,400万円)大会第3日が5月11日、茨城県つくばみらい市・茨城ゴルフ倶楽部・東コース(6,560ヤード/パー72)で行われた。この日も好調だったのは渋野日向子、ペソンウ。通算11アンダーで首位に並び、最終日を迎える。通算7アンダー、3位はアマチュアの吉田優利。(天候:晴れ時々曇り 気温:22.3℃ 風速:2.7m/s)
首位タイへ浮上した渋野日向子の18ホールは、ドラマチックでファンタスティック。さらに、スリリングだった。18番、パーセーブにもかかわらず、まるでイーグルを思わせるギャラリーの歓声を受ける。
第1打をフェアウェイ右のバンカーへ入れ、第2打はミスショット。そして、U3で残り201ヤードの第3打もグリーン手前のバンカーにつかまった。第4打でピンから5メートルのセミラフに寄せたが…。誰しも、ボギーを予想したに違いない。しかし、渋野は集中力を高めた。「カップの手前、1メートルぐらいのところに、ちょうどいい目印になるピッチマークを発見。そこを通れば、カップへ入るなぁと思ったんですよ」。
五感どころか、第六感までさえた。奇跡ともいえる、パーセーブをご覧になったギャラリーは、きっと大満足だったことだろう。前日の勢いが、さらに増した。1番でバーディー発進を決め、加速する。そして、4番から3連続でバーディー奪取。9番でもバーディーで前半を締めた。さすがに、勢いは続かなかったが、後半唯一の12番の7メートルのバーディーパットも素晴らしい。それ以上に、ボギーを打たない安定感はどこで身に着けたのだろうか。
小学生時、ゴルフとソフトボールの二刀流は有名なエピソードとなりつつあるが、精神修養は書道の賜物だろう。「子どもの八段を飛び越えて、成人の準二段をもっている。気を落ち着かせなければ、思い通りの文字が書けない」と話した。ゴルフをする上で大いに役立っているのだ。それにしても、パッティングが巧みだ。ムービングデーの26パットは驚異的というしかない。
「私も驚きました。何でこんなに入るのか、理由がわからない。今回のような難しいグリーンで、心がけているのは、下りのラインで距離をあわせること。6番で、最後のひと転がりが入るとか、いい結果につながっていると思っています」。
さて、書道の心得がプロへ転じて、もうひとつ大きな役に立っている。サインだ。伸び伸びした文字は、人柄の良さをストレートに感じる。というわけで、最終日の決意を文字でお願いした。『ちきらない』とは、耳慣れない響きだが、逃げない-の意味があるそうだ。LPGAツアー初優勝が公式戦となれば、史上13人目の快挙になる。
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