2019.8.6
シンデレラ凱旋 時代が生んだ渋野日向子
<Photo:Atsushi tomura/Getty Images>
昨年7月、最終プロテストに合格。最新のロレックスランキングで14位へジャンプアップした。とはいえ、時代も後押ししたことを忘れてはならない。「中学1年の時、ステップ・アップ・ツアーの山陽新聞レディースカップに出場して、プロを目指そうと思った」という。LPGAは2013年からツアー強化へ着手。17年からステップ・アップ・ツアーが、ロレックスランキング対象ツアーになった。
プロ1年目、ステップ未勝利ながら、18年は563位にランク。明けて19年、ファイナルQTランキング40位の資格で、LPGAツアーの出場権をつかんだ。前代未聞の快進撃がスタートしたのは、KKT杯バンテリンレディスオープンの第2日から。第1日、最下位スタートにもかかわらず、66をマークし、予選突破を果たしたことが転機になる。以降、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップで初V。ロレックスランキングが97位へ跳ね上がった。そして、資生堂アネッサレディスオープンで通算2勝目をあげ、50位に。
「今年は、静かに生きていこうと思っていました」と改めて振り返った。全国区、それも世界が認めるアスリートへ大変身したことに、「注目されることは本当にありがたい。でも、想像以上です。本当に、本当にびっくりです。実は、全英女子オープンへ出場するため、イギリスへ到着した時から、日本に帰りたいと思った」。まさに、人生のサプライズである。
時流に乗って素質が開花し、技術的にも「数値があがっていた」。強化策の一環、スタッツをより細分化したことで、自身をしっかりと把握する。アナリストとしても、隠れた才能を発揮した。加えて、最大の特長は4日間大会に強いことだ。これまた、ツアー強化で72ホールの勝負を増やした、スポンサーの支援の賜物だろう。
渋野は、オールジャパンで取り組んだツアー強化策の結晶ということもできる。強さの秘密を質問され、「最終日、最終組で笑っていられることです。東京オリンピックは、まだ選ばれていないけど、金メダルをとりたい。自国開催ですよ」。シンデレラは予言した。
(メディア管理部・中山 亜子)
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