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2020.7.4

三者三様-エースの系譜

<Photo:Atsushi Tomura/Getty images>

 JLPGA史上最長の2020-21年シーズンがアース・モンダミンカップでスタートした。安定した力を長い期間、発揮するにはどうしたら-選手にとって新たな課題といえよう。パット・イズ・マネーはゴルフ不変の法則。メルセデス最優秀選手賞、賞金女王を狙うトップ選手が掲げるテーマは、よりパッティングの精度をあげることだ。別掲のように、平均パット数の推移をみると全体のレベルが向上。しかし、1位と5位の差が近年は開いている傾向が見て取れる。19年、平均パット数1位は鈴木愛(賞金女王)、同2位の渋野日向子がタイトルを分けた。

 そんな観点から、名手のパター選びを取材すると、さまざまな一面が見えてくる。鈴木、渋野、申ジエが激しくタイトルを争った2019年シーズンは、用具市場へも大きな変革をもたらした。鈴木、渋野と用具契約をするピンゴルフジャパンのツアーディビジョンマネージャー・浦山康雄さんが話す。

 「鈴木選手、渋野選手、それぞれモデルは違う。でも、使用パターが本当にたくさんのユーザーから、支持を集めたことでしょう。特に、鈴木選手が去年4勝をあげたパターはレディース仕様にもかかわらず、ロングベストセラーを続けている。レディースモデルが売れ筋ランキング上位へランクインするのは、おそらく初めてのことではないでしょうか。品薄が続き、オーダーをいただいた皆さんには、ご迷惑をおかけしました」と、かつてないゴルフギア市場の変化を語っている。

 鈴木はピンの『ジー・エルイー2エコー』で昨シーズンにあげた7勝の内、3連勝を含む4勝を飾った。今季も第1戦のアース・モンダミンカップで同モデルを使用。プレーオフで惜敗だったが、「パッティングは好調。第1戦だったし、できるだけ簡単なものを選びました」という。同社のパターに共通するのは、フェースのTR溝だ。ミスヒットした際でも、転がりのロスを防止する役割を果たす。また、TR溝は深さを意図的に変化させており、スイートエリアを拡大している。距離感が安定の安定をもたらし、使用者の信頼がより増す、という構図だ。

 従来の鈴木は、同社のマレットタイプのパターでも、試合で使用する比率が17、18年は約3割程度。でも、19年は約5割に増加した。前述したように、名手の異名が浸透すればするほど、よりやさしいものに-というスタイルの変化が表れている。

 一方、渋野の場合はどうだろう。ピンのオリジナル定番モデルの『シグマ2アンサー』を昨年から本格的に使用。快進撃がスタートした。「渋野選手は以前、マレット型のようなヘッドの大きなものを使用。ところが、去年からアンサーを使いはじめたのは、しっかりしたストロークを身につけるため、と聞きました。鈴木選手は元々、オーソドックスタイプが好み。2人はここまでアンサー→マレット、マレット→アンサーという対照的なプロセスですね」(浦山マネージャー)。

 ちなみに、畑岡奈紗もピンを愛用。『スコッツデールTRパイパーC』をジュニア時代から使用している。シャフトの調整機能つきで話題を集め、2013年に市場デビュー。現在は絶版だ。「プロになって優勝した試合は現在まですべて、このモデルを使っています。気分転換で、他のモデルを使用することがあっても、最後はこれに戻ってくる」(浦山マネージャー)そうだ。

 各選手には2020年モデル『ヘプラー』が手渡されている。TR溝がフェースから消えた。転がりが強く、ダイレクトな打感が伝わりやすい。トーナメントで実証されたギアが市場を席けん。JLPGAツアーが巻き起こした、新しいうねりのひとコマといえそうだ。

平均パット数 順位別一覧

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