2021.5.16
3インチで光明 大里桃子-3度目の正直V
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGA ツアー2020-21シーズン第25戦『ほけんの窓口レディース』(賞金総額1億2,000万円、優勝賞金2,160万円)大会最終日が5月16日、福岡県福岡市・福岡カンツリー倶楽部 和白コース(6,335 Yards/Par 72)で荒天のため順延された第2ラウンドが行われ、大里桃子が逆転優勝。勝負は通算9アンダーで並んだ、ささきしょうことのプレーオフへもつれ込んだ。3ホール目でバーディーを決め、18年8月以来の通算2勝目をあげた。2打差の通算7アンダー、3位タイは高橋彩華、吉田優利。
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シルバーコレクターを返上。大里桃子は3度目の正直を宣言通りに実践してみせた。プレーオフ3ホール目。果敢に5Wで2オンを狙う。スカッと5メートルのイーグル奪取はならなかったものの、2パットで楽々とバーディー。ささきしょうこを振り切った。
「3度目の正直、できました」。お見事としかいいようがない。2週前のパナソニックオープンレディスはPOで同郷の上田桃子に敗れた。そして、前週の最終日は勝負どころの15番でミス。連続2位だった。しかし、後悔よりも、「私が大会をおもしろくした」と率直に語っている。この前向きな姿勢が18年以来のツアー2勝目を運んできたのだろう。
勝負強さは、この日4度もプレーした18番で証明。第2ラウンド、17番で1.5メートルのパーセーブに失敗した。首位から後退する。ところが、18番で5メートルのバーディーを決めた。「第3打が終わって、勝負の状況を把握。バーディーをとれなければ負けてしまうことがわかった」と振り返る。
前2戦とは明らかに違った。プレッシャーがかかる局面でも伸び伸びとプレー。2年以上もパッティングの不振で悩んでいたことが想像できないほどだ。「今、決めなければどうする-と気持ちが吹っ切れた。迷いがない。これまでずっと、どうすれば入る、どう打てばいいかなど、そんなことばかりを考えてきた」という。さらに、「もっともツラかったのは、30センチのパッティングがまっすぐ打てない。小学生が入るものが入らない時でした」と加えた。
とはいえ、手をこまねいていたわけではない。さまざまなグリップを試し、試行錯誤を繰り返す。多くの選手、関係者へ悩みを打ち明けアドバイスを求めた。なりふり構ってはいられない毎日。この苦しさは当人だけが知っている。そして、光明が差し込んだのは今年4月。さくらが満開のヤマハレディースだ。この試合で33インチから、36インチへパターを替えている。「考え方、気持ちなどをガラッと変えることができた。きっかけは、予選落ちはしたけどヤマハレディースです」と明かした。
それから6戦で上昇機運に乗っての、通算2勝目は内容も素晴らしい。「初優勝は勢いのままで私もビックリ。でも、今回は苦労を重ねて、実力で勝ち取った優勝です」と誇らしそうに語った。第1R=25パット、第2R=28パットというスタッツの裏付けもある。
ところで、88年のツアー制度施行後3週連続で2位→2位→優勝を飾ったのは88年小田美岐、96年の村井真由美に続いて3人目の珍しい記録だ。ベイズの定理では、2度あることは3度ある確率が75%だが、3度目の正直は25%の確率になる。
言霊のように前週から大里は、3度目の正直を繰り返した。2度の失敗を忘れず、志の高さを実証。「今年よりも来年という感じで毎年、少しでも良い成績を」と、選手としての目標を控えめに話した。努力の人は大言壮語を吐くことがない。
(メディア管理部・中山 亜子)
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